2026年6月施行:障害福祉報酬の臨時改定と新規事業所への影響
前回の記事では、2026年6月施行予定の臨時改定により、放課後等デイサービスの新規開設事業所のみを対象とした減算が行われる点を整理しました。
当初は減算の幅が全く見えず、不安を感じていた事業者も多かったと思いますが、今回、公的資料により下げ幅が明示されました。
結論から言えば、
心配したほどではなく、現実的な水準に収まった
というのが率直な印象です。

減算の内容
今回の応急的な報酬単価では、基本報酬単価について▲1%強~▲3%弱程度の特例的な引下げが行われます。
ただし、加算を含めた給付費全体で見た場合の影響は▲1%弱~▲1%半ば程度と明示されています。
また、医療的ケア児・強度行動障害児・重度心身障害児、視覚・聴覚・言語機能障害児等への支援体制を有し、報酬上の評価を受けている事業所や、離島・中山間地域、自治体が必要と判断し公募等により設置される事業所については、配慮措置として応急的な報酬単価の適用対象外とされています。
また、この減算は令和9年度の報酬改定で解消されます。実質10ヶ月間のみ有効な減算です。
今回の減算の位置づけ
今回の改定で重要なのは、以下の点です。
- 減算の対象は基本報酬のみであること
- 各種加算が、直接減算されるわけではないこと
加算そのものが削られるのではなく、
あくまで「基本報酬単価に対する特例的な調整」という整理です。
そのため、加算算定の有無や構成によって、
事業所ごとの実質的な影響は異なります。
月次影響額の簡易シミュレーション
月の売り上げのシミュレーションをしてみましょう。
稼働100%の事業所で最大の3%が減算されたとします。
- 区分2(609単位)
- 月26日稼働
- 利用者10人
- 減算幅3%
- 単位10円
この条件では、基本報酬ベースでの影響は月約4.7万円です。
さらに、基本報酬を基礎として算定される
処遇改善加算(13.4%)分を含めると、実質的には月約5.4万円程度となります。
決して小さくはありませんが、新規開設を断念せざるを得ない・人件費構造が破綻するという水準ではないと考えられます。
さらにこれは最大限のシミュレーションであることに留意してください。
実務的にどう考えるか
この水準であれば、
- 5月以前に減算を避けるため、
準備が不十分なまま拙速に開設する - 体制や人材、運営設計が固まらないまま指定を受ける
といった判断は、必ずしも合理的とは言えません。
むしろ、
- 人員配置
- 支援の質
- 加算算定を前提とした運営設計
に時間をかけ、整った状態で開設する方が、中長期的には安定した運営につながると考えられます。
参考資料:令和8年度における臨時応急的な見直し(厚生労働省・こども家庭庁)
