令和8年度(2026年度)障害福祉サービス等報酬改定の要点

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今回の改定は、「全職員の処遇改善(賃上げ)」と「新規参入の適正化(基本報酬の引き下げ)」の2点が柱となります。施行時期はいずれも令和8年(2026年)6月の予定です。

概要

1. 福祉・介護職員等処遇改善加算の拡充

既存・新規を問わず、全ての事業所が対象です。

  • 賃上げ水準:
    • 障害福祉従事者全体:月額**1万円程度(3.3%)**のベースアップ。
    • 生産性向上(ICT活用等)に取り組む場合:さらに月額**0.3万円程度(1.0%)**を上乗せ。
  • 新加算区分: 従来の体系が再編され、加算Ⅰ~Ⅳの4区分となります。

2. 新規指定事業所に対する基本報酬の引き下げ

制度の持続可能性を目的とした「臨時応急的な見直し」です。令和8年6月1日以降に指定を受ける事業所のみが対象となり、既存事業所の報酬は維持されます。

基本報酬に対数切り下げですので加算などは大概です。決して小さくはありませんが、経営の根幹を揺るがすものではなく現実的な減少幅となりました。

サービス種別改定後の報酬(単位数)引き下げ率
児童発達支援所定単位数の 988/1000約1.2%減
放課後等デイサービス所定単位数の 982/1000約1.8%減

【例外措置】新規指定でも引き下げ対象外となるケース

以下の条件に該当する場合、新規事業所であっても従来の報酬単価(100%)が適用されます。

  • 重度・医療的ケア児への支援:
    • 主として重症心身障害児を対象とする事業所。
    • 医療的ケア区分(1~3)、強度行動障害、人工内耳、視覚・聴覚・言語機能障害の各加算を算定する利用者への支援。
  • 地域事情:
    • 離島・中山間地域(特別地域加算対象地域)。
    • 自治体が公募等により必要性を認めて指定した事業所。

報酬改定に関するFAQ

基本報酬・運営について

Q1. 既存事業所の基本報酬は下がりますか?

A. 下がりません。今回の引き下げは、令和8年6月1日以降に新規指定を受ける事業所のみが対象です。

Q2. 新規指定事業所は一律で報酬が下がるのですか?

A. いいえ。重度障害児や医療的ケア児への支援、または離島や自治体の公募による指定など、特定の条件を満たす場合は従来の単価が維持されます。

処遇改善(賃上げ)について

Q3. 職員の給与はどの程度上がりますか?

A. 全体で月額1万円程度のベースアップが想定されています。さらに、ICTの活用や業務分担の見直しといった生産性向上に取り組むことで、最大1.3万円程度の増額が可能です。

Q4. 新しい処遇改善加算の加算率は?

A. 職場の環境改善やキャリアパスの達成度に応じ、以下の率(案)が設定されています。

  • 児童発達支援: 15.2%(Ⅰ)~ 11.7%(Ⅳ)
  • 放課後等デイサービス: 15.5%(Ⅰ)~ 11.9%(Ⅳ)

令和8年6月1日以降の新規指定の定義は?

令和8年6月1日以降の「新規指定」とは、原則としてその日付以降に新しく指定を受けて開設される事業所を指します。

ただし、法人の合併や事業譲渡などに伴う場合は、実態に応じて「既存事業所」として扱われる例外規定が設けられています。

定義と例外(既存扱いになるケース)

1. 原則:令和8年6月1日以降に指定された事業所 この日以降に新しく指定を受けた事業所が、今回の臨時応急的な報酬引き下げ(基本報酬の適正化)の対象となります。

2. 例外:実質的に継続していると認められる場合 形式上は「新規指定」となる場合でも、以下のケースのように事業所が実質的に継続して運営されると認められる場合は、「既存事業所」と同様の扱いとなり、報酬引き下げの対象外(従前通りの報酬単価)となります。

  • 合併(法人が合併して新しい法人で指定を取り直す場合など)
  • 分割(会社分割に伴う指定など)
  • 事業譲渡(M&Aなどで事業を譲り受け、指定を取り直す場合など)

つまり、単に経営主体が変わるだけでサービス提供の実態が変わらないようなケースでは、既存事業所としての既得権益が保護される仕組みとなっています。

処遇改善加算の「職場環境改善」による上乗せ要件

処遇改善加算の上乗せ(月額約0.3万円相当)を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 生産性向上の取組を5つ以上実施すること。その際、「現場の課題の見える化」と「業務支援ソフトや情報端末の導入」の2項目は必須です。
  2. または、社会福祉連携推進法人に所属すること。
  3. 上記に加え、上乗せで得られた加算額の半分以上をボーナス等ではなく「月給」として職員に配分することが必須です。
  • 加算Ⅲ・Ⅳ:以下の区分ごとにそれぞれ1つ以上(生産性向上は2つ以上) + 全体から8
  • 加算Ⅰ・Ⅱ:以下の区分ごとにそれぞれ2つ以上(生産性向上は3つ以上うち⑱は必須) + 全体から14
区分具体的内容
入職促進に向けた取組①法人や事業所の経営理念や支援方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化
②事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築
③他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築(採用の実績でも可)
④職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力向上の取組の実施
資質の向上やキャリアアップに向けた支援⑤働きながら国家資格等の取得を目指す者に対する研修受講支援や、より専門性の高い支援技術を取得しようとする者に対する各国家資格の生涯研修制度、サービス管理責任者研修、喀痰吸引研修、強度行動障害支援者養成研修等の業務関連専門技術研修の受講支援等
⑥研修の受講やキャリア段位制度等と人事考課との連動によるキャリアサポート制度等の導入
⑦エルダー・メンター(仕事やメンタル面のサポート等をする担当者)制度等の導入
⑧上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ・働き方等に関する定期的な相談の機会の確保
両立支援・多様な働き方の推進⑨子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指すための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備
⑩職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備
⑪有給休暇を取得しやすい雰囲気・意識作りのため、具体的な取得目標(例えば、1週間以上の休暇を年に●回取得、付与日数のうち●%以上を取得)を定めた上で、取得状況を定期的に確認し、身近な上司等からの積極的な声かけ等に取り組んでいる
⑫有給休暇の取得促進のため、情報共有や複数担当制等により、業務の属人化の解消、業務配分の偏りの解消に取り組んでいる
⑬障害を有する者でも働きやすい職場環境の構築や勤務シフトの配慮
腰痛を含む心身の健康管理⑭業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実
⑮短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施
⑯福祉・介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援やリフト等の活用、職員に対する腰痛対策の研修、管理者に対する雇用管理改善の研修等の実施
⑰事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備
生産性向上のための業務改善の取組⑱現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している
⑲5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備を行っている
⑳業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている
㉑業務支援ソフト(記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの。)、情報端末(タブレット端末、スマートフォン端末等)の導入
㉒介護ロボット(見守り支援、移乗支援、移動支援、排泄支援、入浴支援、介護業務支援等)又はインカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器(ビジネスチャットツール含む)の導入
㉓業務内容の明確化と役割分担を行い、福祉・介護職員が支援に集中できる環境を整備。特に、食事等の準備や片付け、清掃、ベッドメイク、ゴミ捨て等の業務については、間接支援業務に従事する者の配置や外注等で担うなど、役割の見直しやシフトの組み換え等を行う
㉔各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善に向けた取組の実施
やりがい・働きがいの醸成⑲ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の福祉・介護職員の気づきを踏まえた勤務環境や支援内容の改善
㉖地域社会への参加・包容(インクルージョン)の推進のため、モチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施
㉗利用者本位の支援方針など障害福祉や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供
㉘支援の好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供

「生産性向上」の上乗せ加算をとるためには、単にITツールを入れるだけでなく、「業務時間の調査(課題の見える化)」を行った上で、「業務支援ソフト/タブレットの導入」を含めた計5つの改善活動を行い、かつ増えた加算分の半分以上を「月給ベースで職員に還元」する必要があります。

アルバトロスが貢献できそうなところ

区分項目番号貢献できる具体的な内容
生産性向上のための業務改善の取組業務支援ソフトの導入:記録、情報共有、請求業務転記の自動化など、製品の根幹機能です。
記録・報告様式の工夫:AIによる支援計画作成や、タブレット入力に最適化された様式による事務負担の軽減。
ICT機器の導入:チャット機能やリアルタイムの情報共有による、連絡調整の迅速化。
現場の課題の見える化:蓄積された支援データを用いた業務時間の分析や、支援内容の構造化。
両立支援・多様な働き方の推進業務の属人化の解消:クラウド上で情報を一元管理することで、特定の職員に依存しない体制の構築を支援します。
やりがい・働きがいの醸成好事例・謝意の情報共有:保護者からの連絡帳コメント(謝意)や、効果のあった支援事例のデジタル共有。

アルバトロスは生産性向上のための要件を満たすためにご活用頂けると思います。実際の申請等については事業所様でのご判断をお願い致します。

注記: 本内容は厚生労働省およびこども家庭庁の資料に基づいた令和8年度改定の骨子です。詳細な算定要件については、今後の通知等を確認する必要があります。

参考資料:令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について