
専門的支援実施加算と専門的支援体制加算の違いをおさらい
2024年度の報酬改定で、旧「専門的支援加算」と「特別支援加算」が再編され、
専門的支援体制加算(=専門職を常勤換算1.0以上配置した“体制”への評価)と
専門的支援実施加算(=その専門職が30分以上の個別・集中的支援を行った“実施”への評価)の二段階になりました。
“体制”は月額/“実施”は回数単位
体制加算は配置を満たす月ごとに算定、実施加算は児童ごとに月2回(放デイの場合)が上限です。実施加算の上限は利用数によって変化します。
専門的支援実施加算は単独で算定可能
公式資料や各自治体のガイドでは、実施加算について
「専門的支援体制加算との併算定が可能」
と明記されており、“体制加算が無くても実施加算だけ請求できる” ことを意味します。
併算定は“できる”が“必須”ではない
併算定すると月額+実施回数分の両方を得られますが、常勤換算1.0を確保できない小規模事業所では、実施加算のみで運用しても問題ありません。
実施加算単独算定の注意点
体制加算を取らず実施加算のみを算定する場合、多くは専門職が非常勤配置であるケースになります。計画・実施・記録などに問題が無いか細心の注意を払う必要があります。
実施加算だけを取るときのチェックリスト
- 対象職員の在籍
理学/作業療法士、言語聴覚士、5年以上経験の保育士・児童指導員、心理職などが雇用契約下で配置されている。 - 専門的支援実施計画の作成
個別支援計画とは別に、専門職がアセスメント‐目標‐具体的支援内容を記載し、保護者同意を取得。 - 30分以上の支援+記録
同日の全支援時間でなくてもよいが、対象児ごとに30分以上の専門支援と詳細記録が必須。 - 回数上限を守る
放課後等デイサービス:原則月2回(利用日数により最大6回)。
体制加算も同時に取るメリット
- 常勤換算1.0を確保できれば、毎日体制分の単位が上乗せ
- 実施加算の“専門職”要件を同じスタッフで満たせるため、運営がシンプル
- 公休・有休で欠けても1か月未満なら体制を満たしたとみなされる(公式Q&Aより)pref.osaka.lg.jp
「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定(障害児支援関係)の改定事項の概要」(令和6年4月1日)での記述
「②理学療法士等により、個別・集中的な専門的支援を計画的に行った場合(専門的支援体制加算との併算定可能。利用日数等に応じて最大月6回を限度…)」
併算定が可能でありそれぞれの加算の算定要件が記述されています。それぞれが単独算定が可能であることが読み取れます。
まとめ
- 専門的支援実施加算は体制加算がなくても算定できる。
- 計画や記録などに細心の注意が必要。
- 小規模事業所や非常勤中心でも、専門職と計画・記録体制が整っていれば実施加算のみで収益化が可能。
- 余力があれば常勤換算1.0を達成し、体制加算と併せて二重で評価を得る戦略が望ましい。
これらを踏まえ、自事業所の人員配置と業務フローを見直し、最適な加算取得を目指しましょう。