個別支援計画未作成減算とは?対象となるケースと防ぎ方

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児童発達支援・放課後等デイサービスでは、利用者ごとに個別支援計画を作成し、その内容に基づいて支援を提供します。計画の作成や更新が遅れたとき、「個別支援計画未作成減算に当たるのか」と不安になる事業所も少なくありません。

個別支援計画未作成減算を防ぐには、計画書の有無だけでなく、利用開始前の作成、説明・同意、計画期間、モニタリング、見直し・更新までを利用者ごとに管理することが重要です。

署名欄が空いている、更新日が遅れている、計画はあるものの作成手順を確認できないなど、不備の内容によって確認すべき点は異なります。この記事では、個別支援計画未作成減算の基本的な考え方、対象となる可能性があるケース、更新漏れを防ぐ管理方法を整理します。

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個別支援計画未作成減算とは

個別支援計画未作成減算は、利用者に必要な個別支援計画が適切に作成されていない場合に、障害児通所給付費の算定上確認が必要となる減算です。

個別支援計画は、本人・保護者の意向やアセスメントをもとに、支援目標、具体的な支援内容、役割分担などを整理する書類です。事業所は、計画に基づいて支援を提供し、その実施状況をモニタリングして見直します。

そのため、単に計画書のファイルを作成すればよいわけではありません。個別支援計画の作成では、次のような一連の工程を確認する必要があります。

  1. 本人・保護者の意向と支援ニーズを把握する
  2. アセスメントに基づいて原案を作成する
  3. 個別支援会議(担当者会議)で原案を検討する
  4. 会議の意見を反映して計画を完成させる
  5. 本人・保護者へ説明し、同意を得る
  6. 同意を得た完成版を交付する
  7. 計画に基づいて支援を実施する
  8. モニタリングを行い、必要な時期に見直す

減算の確認では、書類が存在するかだけでなく、必要な時期に必要な手続きを経て、計画に基づく支援が行われていたかが重要になります。

計画書がない場合だけが問題になるとは限らない

個別支援計画の書類がまったくない場合だけでなく、作成時期や同意、更新状況に問題がある場合も確認が必要です。

事業所内に個別支援計画らしい書類があっても、利用開始後に作成されている、同意前から適用されている、以前の計画期間が終了したまま更新されていないといった状態では、必要な手続きを適切に行ったか説明しにくくなります。

確認する状態主なリスク
計画書が作成されていない計画に基づく支援であることを確認できない
利用開始後に作成している計画がない期間に支援を提供した可能性がある
説明・同意前から新しい計画を適用している本人・保護者の同意を得た計画に基づく支援か確認できない
計画期間が終了したまま更新していない更新前の計画を使い続けた期間が生じる
モニタリングを行わず日付だけ更新している見直し結果に基づく計画か説明できない
実際の日付と記録上の日付が異なる手続きの経過や作成時期を確認できない

「計画書があるから減算にはならない」と判断せず、計画の対象期間と実際の支援期間、作成・同意の経過を照らし合わせることが必要です。

対象となる可能性がある主なケース

未作成、利用開始後の作成、同意前の適用、更新漏れなど、計画に基づかない支援期間が生じている場合は減算の確認が必要です。

新規利用者の個別支援計画が作成されていない

利用開始時に個別支援計画がなく、計画を作成しないまま支援を提供している場合は、未作成減算の対象となる可能性があります。

契約書や利用予定表があっても、それらが個別支援計画の代わりになるわけではありません。利用開始前には、本人・保護者の意向やアセスメントに基づいて、利用者ごとの目標と支援内容を整理します。

見学時の情報や相談支援事業所から受け取った資料だけで支援を始め、個別支援計画の作成を後回しにしないように注意します。

利用開始後にさかのぼって計画を作成している

支援開始後に計画を作成し、利用開始日以前の日付を記載しても、実際の作成経過を置き換えることはできません。

期限を過ぎたことに気づいた場合は、日付を合わせるのではなく、実際にアセスメント、会議、説明、同意を行った日を記録します。そのうえで、計画がなかった期間と請求上の取扱いを確認します。

作成日、説明日、同意日などを一律に利用開始日へそろえると、ほかの記録との前後関係が不自然になり、運営指導(実地指導)でも経過を説明しにくくなります。

説明・同意前から計画を適用している

個別支援計画を作成していても、本人・保護者へ説明し、同意を得る前からその計画を適用している場合は注意が必要です。

説明・同意は、計画の内容を本人・保護者と共有し、事業所が行う支援について意思を確認するための手続きです。計画書へ後日署名をもらえば、同意前の期間も自動的に問題がなくなるとは限りません。

説明した日、同意を得た日、署名済み書類を回収した日が異なる場合は、それぞれの意味を分けて記録します。

計画期間が終了しているのに更新していない

現在の個別支援計画の対象期間が終了し、次の計画を作成しないまま支援を続けている場合も、更新漏れとして確認が必要です。

モニタリングだけを実施していても、見直し結果を次の計画へ反映し、説明・同意・交付まで行っていなければ、更新手続きが完了したとは確認しにくくなります。

少なくとも6か月に1回以上の見直し時期を意識し、現在の計画期間が終了する前にモニタリングや原案作成を始めることが重要です。

日付だけを変更して更新したことにしている

前回の個別支援計画を複製し、モニタリングや本人・保護者の意向確認を行わず、期間だけ変更する運用は避けます。

目標や支援内容を継続すること自体が問題なのではありません。継続する場合も、支援の実施状況や本人の変化を評価し、現在の内容を続けることが適切だと判断した根拠を残します。

更新版の文章が前回と同じであっても、モニタリング記録、会議記録、本人・保護者の意向確認から、見直しを行った経過を確認できることが重要です。

署名漏れや交付漏れがすべて直ちに同じ減算になるとは限らない

個別支援計画の不備が見つかった場合は、不備の内容を分けて確認し、すべてを一律に未作成減算と判断しないことが大切です。

たとえば、計画を作成して説明・同意を得たものの、同意日を記録していない場合と、そもそも説明・同意を行わずに支援している場合では、事実関係が異なります。

また、交付記録がない場合も、実際に交付して記録だけが不足しているのか、交付そのものを行っていないのかを確認する必要があります。

見つかった不備確認する事実
署名がない説明・同意を実際に行ったか、別の記録から確認できるか
同意日の記載がないいつ同意を得たのか、面談記録や電子履歴から特定できるか
交付日の記載がないいつ、誰に、どの方法で完成版を交付したか
会議記録がない原案について職員の意見を求めた事実を確認できるか
モニタリング記録がない見直しの根拠や支援結果の評価を確認できるか
計画期間に空白がある空白期間にどの計画に基づいて支援したのか

個別の減算適用や請求訂正の要否は、事実関係と対象期間を整理し、最新の資料と自治体・指定権者の取扱いを確認してください。

作成日・説明日・同意日・交付日を分けて管理する

個別支援計画の作成状況を正しく確認するには、作成日、説明日、同意日、交付日、適用開始日の意味を分けて管理します。

日付意味注意点
原案作成日アセスメントをもとに原案を作成した日個別支援会議前のたたき台であることを区別する
個別支援会議日原案について職員から意見を求めた日会議内容が完成版へ反映されているか確認する
計画作成日会議の意見を踏まえて完成版を作成した日実際に完成した日を記録する
説明日本人・保護者へ内容を説明した日書類を渡しただけの日と混同しない
同意日本人・保護者の同意を確認した日署名済み書類を後日回収した日と区別する
交付日同意を得た完成版を交付した日交付相手と交付方法も記録する
適用開始日完成した計画に基づく支援を開始する日説明・同意前から適用した状態になっていないか確認する

すべての日付を同じ日にそろえることより、実際の手続きと記録が一致し、自然な前後関係になっていることが重要です。

新規利用者の未作成を防ぐ管理方法

新規利用者については、初回利用日から逆算し、契約手続きとは別に個別支援計画の進捗を管理します。

契約が完了していても、個別支援計画の作成が完了しているとは限りません。利用開始日が決まった時点で、必要な工程と担当者を整理します。

  1. 初回利用予定日を確認する
    契約日と初回利用日を分けて管理します。
  2. アセスメントの日程を設定する
    本人・保護者への聞き取りと必要な情報収集を行います。
  3. 原案作成の担当と期限を決める
    児童発達支援管理責任者(児発管)が計画作成を進められる日程を確保します。
  4. 個別支援会議の日程を設定する
    支援を担当する職員から原案への意見を求めます。
  5. 説明・同意の日程を保護者と調整する
    面談方法や署名方法を事前に確認します。
  6. 交付と職員共有まで完了したか確認する
    完成版が保護者とサービス提供職員へ共有されているか確認します。

初回利用日の直前に計画を作り始めるのではなく、利用開始予定が決まった段階で作成スケジュールを登録することがポイントです。

更新漏れを防ぐには6か月目より前から準備する

個別支援計画の更新は、現在の計画期間が終了する直前ではなく、モニタリングや会議に必要な期間を見込んで準備します。

6か月目にモニタリングを始めると、個別支援会議、原案の修正、保護者への説明・同意・交付までに時間がかかり、計画期間に空白が生じる可能性があります。

利用者ごとに、次の予定を登録しておくと進捗を確認しやすくなります。

  • 現在の計画の適用開始日・終了日
  • 次回モニタリング予定日
  • 本人・保護者への聞き取り予定日
  • 原案作成期限
  • 個別支援会議の予定日
  • 説明・同意の予定日
  • 交付予定日
  • 次期計画の適用開始日

「次回更新日」だけでなく、その前に必要な工程ごとの期限を設定することで、更新漏れを防ぎやすくなります。

利用者ごとの作成状況を一覧で管理する

未作成や更新漏れを防ぐには、利用者ごとの作成状況を一覧化し、複数の職員が確認できるようにします。

個別支援計画の状況を児発管の記憶や個人の予定表だけで管理すると、休職・退職・異動時に進捗が分からなくなる可能性があります。

管理表には、少なくとも次の項目を設けます。

  • 利用者名
  • 初回利用日
  • 現在の計画期間
  • アセスメント実施日
  • 個別支援会議日
  • 計画作成日
  • 説明日・同意日・交付日
  • モニタリング予定日・実施日
  • 次回見直し期限
  • 未完了の工程と担当者

計画書の保存先だけでなく、作成・同意・更新の進捗を一覧から確認できる状態にすることが重要です。

計画の版と交付した完成版を一致させる

原案、修正版、同意済みの完成版を区別し、事業所保管分と保護者へ交付した計画を一致させます。

複数のファイルが保存されていると、どの計画について同意を得たのか、どの版に基づいて支援しているのか分からなくなることがあります。

  • 原案と完成版を区別する
  • 利用者名と計画期間をファイル名に入れる
  • 修正した場合は変更箇所と理由を残す
  • 同意後の完成版を不用意に上書きしない
  • 交付した版を確認できるようにする
  • 現場職員が最新の計画を確認できるようにする

計画書が複数存在するときは、どの版が有効で、いつから支援へ適用されたかを明確にします。

未作成や更新漏れが見つかったときの対応

不備を発見したときは、日付をさかのぼらせず、事実関係と対象期間を整理して自治体・指定権者へ確認します。

  1. 不備の内容を特定する
    未作成、更新漏れ、同意前の適用、日付の記載漏れなどを区別します。
  2. 対象となる利用者と期間を確認する
    いつからいつまで、どの計画に基づいて支援していたかを整理します。
  3. 関連記録を確認する
    アセスメント、会議、面談、支援記録、モニタリング、交付履歴を確認します。
  4. 現在必要な計画手続きを進める
    不足しているアセスメント、会議、説明・同意・交付を実際の日付で行います。
  5. 自治体・指定権者へ相談する
    不備の内容、対象期間、事業所が確認した記録、今後の対応を具体的に伝えます。
  6. 請求上の対応を確認する
    減算の適用、過誤調整、返還などの要否を自己判断せず確認します。
  7. 対応経過を記録する
    発見日、確認者、相談先、回答、修正内容、再発防止策を残します。

不備を隠すための書類作成ではなく、実際の経過を明らかにし、必要な是正と再発防止を行うことが大切です。

運営指導(実地指導)に備えて整合を確認する

運営指導(実地指導)に備えるときは、個別支援計画単体ではなく、作成過程や支援記録との整合を確認します。

計画書に署名や日付がそろっていても、会議記録や支援記録との前後関係が不自然であれば、実際の作成経過を説明しにくくなります。

  • 利用開始前に必要な計画が作成されているか
  • アセスメントの内容が目標へ反映されているか
  • 個別支援会議の意見が完成版へ反映されているか
  • 説明・同意・交付の経過を確認できるか
  • 計画期間に空白がないか
  • 少なくとも6か月に1回以上の見直しを確認できるか
  • 日々の支援記録が計画内容とつながっているか
  • モニタリング結果が次の計画へ反映されているか
  • 各日付が実際の手続きと一致しているか

日付や署名をそろえるだけでなく、計画作成から日々の支援、モニタリング、更新までの流れを説明できる状態を目指します。

未作成減算を防ぐための確認手順

新規利用、定期更新、随時見直しの3つの場面に分け、計画作成の進捗を定期的に点検します。

  1. 新規利用予定者を確認する
    初回利用日までに必要な計画手続きを完了できるか確認します。
  2. 今後2〜3か月以内に更新時期を迎える利用者を抽出する
    モニタリングや会議の日程を早めに設定します。
  3. 状態変化があった利用者を確認する
    定期更新を待たずに見直す必要がないか検討します。
  4. 説明・同意・交付の未完了者を確認する
    計画作成済みという表示だけで完了としないようにします。
  5. 現在の計画期間と支援期間を照合する
    計画の空白期間や適用前後のずれがないか確認します。
  6. 未完了の工程に担当者と期限を設定する
    誰がいつまでに対応するかを一覧へ登録します。
  7. 管理者と児発管が複数人で点検する
    個人の記憶だけに頼らず、定期的に進捗を確認します。
  8. 次回予定を完了時点で登録する
    更新が完了したら、次回のモニタリングと見直し予定を設定します。

事業所内で確認したいチェックポイント

個別支援計画の有無、作成時期、同意、計画期間、モニタリングを利用者ごとに確認します。

  • 新規利用:初回利用前に計画作成の工程を進めているか
  • 作成過程:アセスメントと個別支援会議を確認できるか
  • 説明・同意:実際の説明日と同意日を記録しているか
  • 交付:同意を得た完成版を交付した記録があるか
  • 適用期間:現在の計画に空白期間がないか
  • 更新:期限前にモニタリングと見直しを始めているか
  • 記録:計画と日々の支援記録がつながっているか
  • 版管理:同意済みの完成版を特定できるか
  • 期限管理:複数の職員が作成状況を確認できるか
  • 不備発見時:日付を変更せず、事実と対象期間を整理しているか
  • 請求確認:個別の減算適用を自治体・指定権者へ確認したか

まとめ

個別支援計画未作成減算を防ぐには、計画書の有無だけでなく、利用開始前の作成、説明・同意、適用期間、モニタリング、見直し・更新までを一連の流れで管理することが重要です。

新規利用者の計画がない場合だけでなく、利用開始後の作成、同意前の適用、計画期間の空白、更新漏れなども確認が必要です。一方、署名漏れや交付記録の不足など、見つかった不備がすべて直ちに同じ減算へつながるとは限りません。

利用者ごとの作成状況と各日付を一覧で管理し、期限前にモニタリングや更新準備を始めましょう。不備を発見した場合は、日付をさかのぼらせず、対象期間と事実関係を整理して自治体・指定権者へ確認してください。

参考資料

個別支援計画の作成・見直しを効率化したい方へ
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