令和6年度報酬改定により、提供実績記録票に「算定時間数」欄が新設されました。
この欄は、新しい時間区分(基本報酬)と関係する項目です。実務では、次のような疑問が出やすい部分です。
- ここには、実際に支援した時間を書くのか
- 個別支援計画上の時間を書くのか
- 実績時間と表示が違っていてもよいのか
- どの表示方法を選べばよいのか
アルバトロスでは、算定時間数欄の表示方法について複数の選択肢をご用意しています。
初期設定では、現場で無理なく運用しやすい方法として、「実績時間と時間区分で表示する」を推奨しています。
この記事では、算定時間数欄の考え方と、アルバトロスでこの表示方法を初期設定にしている理由についてご説明します。

「算定時間数」は、実際に支援した時間そのものではない
まず押さえておきたいのは、「算定時間数」欄は、実際に支援した時間をそのまま入力する欄ではないという点です。
様式上の注記では、「算定時間数」欄は、基本報酬の対象となる計画時間数を入力する欄とされています。
つまり原則としては、次のように考えます。
- 開始時間・終了時間:実際に支援した時間
- 算定時間数:基本報酬の対象となる計画時間数
算定時間数欄は、単純に「その日に実際に何時間支援したか」を書く欄ではなく、個別支援計画で定めた支援時間をもとに考える欄です。
実績時間と計画時間がずれる場合
実際の運用では、計画していた支援時間と、その日の実績時間がずれることがあります。
たとえば、次のようなケースです。
- 個別支援計画では2時間の支援を予定していた
- 当日、お子さまの部活動が長引いた
- 実際の支援時間は1時間になった
このような場合、重要になるのは支援時間が短くなった理由です。
- 利用者さま側の事情で短くなった場合:計画時間をもとに算定できるケースがあります
- 事業所側の都合で短くなった場合:実際に支援した短い時間をもとに算定する必要があります
このように、算定時間数は単純に実績時間だけで判断するものではありません。
短縮の理由によって判断が変わることが、この欄をわかりにくくしている大きな要因です。
時間区分の考え方
基本報酬の時間区分は、おおむね次のように分かれています。
- 区分1:支援時間30分以上1時間30分以下
- 区分2:1時間30分超3時間以下
- 区分3:3時間超5時間以下
なお、放課後等デイサービスにおける区分3は、学校休業日のみ算定可能です。
そのため、平日か学校休業日かによって、選択できる時間区分が変わる場合があります。
正確に反映しようとすると、入力項目が多い
算定時間数欄を計画支援時間に合わせて厳密に表示しようとすると、事業所さま側で多くの情報を管理する必要があります。
たとえば、次のような情報です。
- 基本報酬部分の支援開始時刻・終了時刻
- 延長支援の開始時刻・終了時刻
- 前延長・後延長の区別
- 学校休業日かどうか
- 長期休暇期間中の時間区分の切り替え
- 計画時間と実績時間がずれた場合の理由
計画支援時間は、本来は固定的なものです。
しかし実際には、長期休暇、行事、延長支援の有無などにより、日ごとに前提が変わることがあります。
そのため、厳密に運用しようとするほど、次のような負担が大きくなります。
- 入力項目が増える
- 確認する内容が増える
- 日々の記録作業が複雑になる
- 請求前のチェックに時間がかかる
これは、多くの事業所さまにとって現実的な運用ハードルになります。
アルバトロスの初期設定について
こうした事情から、アルバトロスでは初期設定を「実績時間と時間区分で表示する」としています。
これは、次の2つをもとに算定時間数欄へ表示する方法です。
- 実際の支援記録に基づく実績時間
- 請求データ上で設定された時間区分
請求データ上で時間区分を設定しているということは、その区分で算定することが妥当であると、事業所さまが判断しているということでもあります。
アルバトロスでは、この時間区分の判断を尊重しながら、毎日の入力負担をできるだけ抑えられる表示方法として、この設定を初期設定としています。
実績時間と算定時間数の表示が一致しない場合
この表示方法では、実績時間と算定時間数の表示が一致しない場合があります。
たとえば、次のようなケースです。
- 実際の支援時間は1時間
- 請求上の時間区分は区分2
- 算定時間数欄には、1時間31分に相当する時間が表示される
区分2は、「1時間30分超3時間以下」の区分です。
そのため、区分2として表示する場合、その下限にあたる1時間31分を表示することがあります。
この場合、実績時間は60分であるにもかかわらず、算定時間数欄には91分相当の時間が表示されることになります。
見た目としては違和感があるかもしれません。
ただし、これは実際に支援した時間と請求上の時間区分が、異なる考え方に基づいているためです。
重要なのは、時間区分の判断と支援の実態
算定時間数欄の表示だけを見ると、実績時間との違いが気になる場合があります。
しかし実務上重要になるのは、その時間区分で算定する根拠があるかどうかです。
確認のポイントは、次のような内容です。
- 個別支援計画上、その時間区分に見合う支援が位置づけられているか
- 実際にその内容の支援が提供されているか
- 支援時間が短くなった場合、その理由が記録されているか
- 事業所都合による短縮ではないか
算定時間数欄の数値だけで判断するのではなく、時間区分の妥当性と支援の実態をあわせて確認することが大切です。
なお、最終的な取扱いは、指定権者や自治体、国保連の解釈によって異なる場合があります。
判断に迷うケースでは、自治体や国保連へ確認し、その回答を事業所内の運用ルールとして残しておくことをおすすめします。
正確性を優先したい場合の表示設定
アルバトロスでは、事業所さまの運用方針に合わせて、算定時間数欄の表示方法を選択できます。
- 実績時間と時間区分で表示する(推奨)
- 実績時間と時間区分・延長支援で表示する
- 実績時間を表示する
- 算定時間数を空白にする
- 計画支援時間を優先して表示する(非推奨)
- 計画支援時間を表示する(非推奨)
計画支援時間を入力いただくことで、その値を算定時間数として反映することも可能です。
ただし、計画支援時間を用いる設定は、現状では非推奨としています。
理由は、計画支援時間を正しく反映するためには、次のような情報を正確に管理する必要があるためです。
- 延長支援の有無
- 前延長・後延長の区別
- 学校休業日かどうか
- 長期休暇中の時間区分の切り替え
- 計画時間と実績時間がずれた場合の扱い
入力の手間と記録の厳密さは、基本的にトレードオフの関係にあります。
事業所さまの体制や運用方法に合わせて、無理のない設定をお選びください。
短縮があった日は、理由を備考に残す
どの表示方法を選ぶ場合でも、実績時間が計画時間や時間区分より短くなった日は、その理由を備考欄に残しておくことをおすすめします。
たとえば、次のような記録です。
- 部活動延長のため、利用者都合により開始時間が遅れた
- 体調不良により早退
- 保護者都合により利用時間を短縮
- 事業所都合により支援時間を短縮
支援時間が短くなった場合、事業所都合による短縮なのか、利用者さま側の事情による短縮なのかによって、算定の考え方が変わります。
後から確認された際に説明できるよう、短縮理由を記録として残しておくことが重要です。
計画支援時間での運用が難しい理由
算定時間数欄がわかりにくい理由は、欄そのものの性格にもあります。
提供実績記録票では、開始時間・終了時間は実際に支援した時刻を表します。
一方で、算定時間数欄は、原則として計画上の標準的な時間を表します。
つまり、同じ行の中に次の2つが並んでいることになります。
- 実績:開始時間・終了時間
- 計画:算定時間数
さらに、事業所都合で支援時間が短くなった場合は、実績時間をもとに算定する必要があります。
このように、算定時間数欄は状況によって、計画時間を表す場合と、実績時間を考慮する場合があります。
そのため、記入する側も確認する側も迷いやすい項目になっています。
また、次のような点も判断が必要になります。
- 端数の時間をどのように扱うか
- 計画にない支援を行った場合にどう考えるか
- 長期休暇中の時間区分をどのように切り替えるか
- 延長支援と基本報酬部分をどのように分けるか
アルバトロスで「計画支援時間」を用いる設定を非推奨としているのは、このような構造的な難しさがあるためです。
まとめ
「算定時間数」欄は、実績時間をそのまま表示する欄ではありません。
原則として、基本報酬の対象となる計画時間数を示す欄です。
ただし実際の運用では、次のような要素により判断が複雑になります。
- 利用者さま側の事情による短縮
- 事業所都合による短縮
- 延長支援の有無
- 学校休業日かどうか
- 長期休暇中の時間区分
アルバトロスでは、現場で無理なく運用しやすい方法として、初期設定を「実績時間と時間区分で表示する」としています。
厳密な管理を希望される場合は、計画支援時間を用いた表示設定も選択できます。
ただし、入力項目が多くなるため、事業所さまの運用体制に合わせてご検討ください。
算定時間数欄の表示について迷われる場合は、サポートまでお問い合わせください。事業所さまの運用状況を確認したうえで、適した設定をご案内いたします。
