令和8年10月5日の第65回障害福祉報酬改定検討チームで、令和9年度障害福祉報酬改定に向けた障害児支援の論点と、検討の方向性(事務局案)が示されました。
この記事では、児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援の事業所に関わる論点について、資料で示された現状・課題と検討の方向性を整理します。多くの事業所に関わる論点から順に並べています。
※この記事は、第65回障害福祉報酬改定検討チームの資料「障害児支援に係る報酬・基準について」をもとに、2026年10月12日時点の情報でまとめています。

現在の位置づけ
資料に示された見直しは、どれも「検討してはどうか」という形の案で、決定事項ではありません。今後の議論で内容が変わることがあります。報道では、12月に基本的な考え方が取りまとめられ、2月に改定案がまとまる見込みとされています。
また、今回の論点は令和9年度障害福祉報酬改定に向けた検討で、児童福祉法そのものを改正する話ではありません。研修体系のように、運営基準(省令)に位置づける案も含まれています。
加算の要件や単位数などは、まだ示されていません。
論点の一覧
| 論点 | 主に関係する事業所 |
|---|---|
| 1. 児童指導員等加配加算と専門的支援体制加算の統合 | 児童発達支援・放課後等デイサービス |
| 2. 研修体系の創設と制度化 | 障害児支援の事業所全般 |
| 3. 強度行動障害の判定基準の統合 | 障害児支援の事業所全般 |
| 4. 個別支援計画のチーム協働 | 障害児支援の事業所全般 |
| 5. 関係機関連携加算まわりの見直し | 児童発達支援・放課後等デイサービス |
| 6. 職員の休暇に伴う人員配置の取扱い | 児童発達支援・放課後等デイサービス |
| 7. 保育所等訪問支援の見直し | 保育所等訪問支援 |
| 8. その他の論点 | 医療的ケア児・重症心身障害児を受け入れる事業所、児童発達支援センター、居宅訪問型児童発達支援など |
1. 児童指導員等加配加算と専門的支援体制加算の統合
資料で示された現状・課題
令和8年3月の国保連実績では、児童指導員等加配加算を算定している事業所は、児童発達支援で約8割、放課後等デイサービスで約9割です。専門的支援体制加算は、どちらのサービスでも約5割の事業所が算定しています。
令和8年度予算執行調査では、約9割の事業所が算定している実態を踏まえ、児童指導員等加配加算は「支援強化のためのインセンティブとしての役割を果たしているとは言えない」とされ、要件の見直し等を検討すべきとの指摘がなされています。
資料はあわせて、2つの加算が個々の職員の資格や配置状況のみを評価するため、配置転換等による対応でも算定できる一方、事業所全体の支援体制を十分に評価する仕組みになっていない点を挙げています。
検討の方向性
「現行の評価体系を抜本的に見直し、両加算を整理・統合した新たな加算を創設することを検討してはどうか」とされています(資料30〜31ページ)。
新たな加算では、「専門人材の活用」や「経験ある人材の評価」の方向性を維持しつつ、専門職等の配置や経験年数等の個別要素のみを評価するのではなく、支援ニーズの高いこどもの受入れ状況やそれに応じた支援体制等、複数の評価項目について総合的に評価することが検討されています。
現行の2つの加算の仕組みは、児童指導員等加配加算の見直し【令和6年度報酬改定】、専門的支援体制加算・専門的支援実施加算について【令和6年度報酬改定】で解説しています。
2. 研修体系の創設と制度化
資料で示された現状・課題
令和7年8月の検討会報告書で、「基礎・実践研修」「リーダー研修」「コア人材研修」の3階層による人材育成体系を構築することが適当とされました。令和9年度に「基礎・実践研修」、令和10年度に「リーダー研修」、令和11年度に「コア人材研修」を順次導入することが予定されています。
基礎・実践研修は、障害児支援に従事する全ての支援者を対象に、基本理念や権利擁護、本人支援、家族支援、地域連携等を学ぶ基礎的な研修です。事業者等が実施し、日々の支援実践やOJTと一体的に、概ね3年程度の期間で受講することが想定されています。リーダー研修とコア人材研修は、都道府県・指定都市が実施主体とされています。
検討の方向性
次のような案が示されています(資料3〜4ページ)。
- 運営基準上、事業者に対して研修を実施するための措置を講じることを求める
- 受講対象は、児童福祉法に基づく指定障害児通所支援、指定障害児入所支援、指定障害児相談支援に従事する者とする
- 基礎・実践研修は、導入時には配置されている全ての常勤職員に受講を求め、以降は新たに従事する常勤職員に受講を求める
- 非常勤職員は、必須受講科目を設定する等、常勤職員とは異なる枠組みで受講を求める
- リーダー研修とコア人材研修は、中核的な役割を担う者が任意で受講する研修として在り方を検討する
- 外部研修の受講で一時的に人員配置に影響が出る場合は、必要な直接支援体制の確保を前提に、人員基準の柔軟な取扱いを検討する
3. 強度行動障害:就学児サポート調査票と強度行動障害判定基準表の統合
資料で示された現状・課題
今は、行動上の課題を有する就学児への支援を評価する個別サポート加算と、強度行動障害の状態にあるこどもへの支援を評価する強度行動障害児支援加算の、2つの枠組みで支援を評価しています。資料は、加算の取得に係る基準が分かれていることと、自治体の運用状況(聴き取りのタイミングや方法)に自治体ごとのばらつきがあることを課題に挙げています。
放課後等デイサービスの個別サポート加算(Ⅰ)の算定率は37.1%〜49.1%です(令和7年12月時点)。
検討の方向性
資料では、次のように示されています(資料14ページ)。
こどもの状態像に応じて段階的な支援を行う観点から、就学児サポート調査票及び強度行動障害判定基準表を整理・統合した基準を策定するとともに、当該基準に係る一体的な運用方法を明確化することを検討してはどうか。
個別サポート加算の現行の仕組みは、個別サポート加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の違いと確認ポイント【令和6年度報酬改定】で解説しています。
4. 個別支援計画のチーム協働
資料で示された現状・課題
令和7年度の調査研究では、個別支援計画の作成プロセスで他の職員と協働していると回答した児童発達支援管理責任者は80.8%でした。協働している場合には、丁寧な計画作成プロセス、業務時間の確保、支援の実現度、人材育成等で良好な傾向が確認されたとされています。
検討の方向性
児童発達支援管理責任者を中心にチームで協働して個別支援計画を作成するプロセスを明確化し、あわせて次の点を明確化することが検討されています(資料8〜9ページ)。
- 個別支援計画の作成責任は、引き続き児童発達支援管理責任者が担う。児童発達支援管理責任者は、作成プロセス全体を管理し、計画内容を確認する責任を有する
- アセスメントに資する情報の整理や、支援目標及び具体的な支援内容の提案等、原案作成プロセスの一部は、一般職員も担うことができる
5. 関係機関連携加算まわりの見直し
児童発達支援・放課後等デイサービスの論点のうち、次の3つで関係機関連携加算の見直しが検討されています。
- 地域支援機能の強化:こどもが併行して通う保育所や放課後児童クラブ等を訪問し、支援方法の共有、受入れ環境の調整、専門的助言等を行う取組を評価する案です。一定の実務経験を有する職員が実施することを要件とすることや、基準職員が訪問している時間帯の人員基準上の取扱いを見直すことも検討されています。
- 地域における活動参加・居場所:保育所や学校等との連携に加えて、地域における多様な活動・居場所等との連携を評価対象とする案です。
- 高校卒業後の移行支援:評価対象を一般就労への移行に限らず障害福祉サービス等への移行まで広げ、評価回数を見直す案です。学校や関係機関と連携した受入先の探索・選定支援、実習・体験機会の調整、進路先への支援の引継ぎ等の取組を評価することも検討されています。
あわせて、学齢期のインクルージョンを推進する観点から、放課後等デイサービスと放課後児童クラブ等との連携・交流や、一体的な運用の在り方も検討するとされています。
現行の関係機関連携加算については、関係機関連携加算・事業所間連携加算について【令和6年度報酬改定】で解説しています。
6. 職員の休暇に伴う人員配置の取扱い
資料で示された現状・課題
児童発達支援と放課後等デイサービスでは、基準人員の児童指導員または保育士が休暇を取る場合でも、サービス提供時間帯に必要な配置を確保する必要があります。障害福祉サービスの通所系サービスでは、一定の要件の下で、休暇を取った常勤の基準職員を常勤換算に含めることができる取扱いになっています。
検討の方向性
資料では、次のように示されています(資料95〜96ページ)。
職員が法定休暇を取得することにより保育士又は児童指導員の配置基準を満たさなくなる場合については、管理者又は児童発達支援管理責任者による直接支援への関与の下、必要な直接支援体制が確保されていることを前提に、人員基準上の取扱いを見直すことを検討してはどうか。
ここでいう法定休暇は、労働関係法令で使用者が労働者に付与することを義務付けられた休暇です。
7. 保育所等訪問支援の見直し
保育所等訪問支援では、次の2つの論点が示されています。
- 訪問支援員の基準:現行の資格要件に加えて、一定の実務経験を求めることが検討されています。人材確保への影響に留意し、経過措置を置くことも検討されています。
- 併設施設への訪問:同一建物又は同一敷地内に保育所等と児童発達支援事業所が併設され、人員・設備の共用や職員の兼務が認められている環境で、その保育所等と児童発達支援事業所を併行利用しているこどもについて、保育所等訪問支援を算定対象外とする等、評価の在り方を整理することが検討されています。
保育所等訪問支援の現行の仕組みは、保育所等訪問支援に関する変更点【令和6年度報酬改定】で解説しています。
8. その他の論点
医療的ケア児・重症心身障害児
次の点が検討されています。
- 支援実績のある事業所が、新たに受け入れる事業所に知識や支援ノウハウを共有し、助言等を行う取組を評価すること
- 新たに受け入れる事業所の、円滑な受入れに向けた連携・情報共有等を評価すること
- 外部の看護職員の活用を促すため、医療連携体制加算(Ⅳ)(Ⅴ)の評価を充実すること
- 多職種連携、医療安全管理、緊急時対応体制、関係機関との連携等の体制や取組について、評価の在り方を検討すること
高次脳機能障害を有するこども
高次脳機能障害者支援法の成立を踏まえ、高次脳機能障害を有するこどもへの支援を評価することが検討されています。
家族支援
保護者等からの緊急的・突発的かつ対応が困難な相談への対応について、新たな評価の在り方が検討されています。資料によると、家族からの緊急的な相談に対応している事業所は64.2%です。
児童発達支援センター
中核機能強化加算の評価の在り方の見直し(中核機能強化職員の配置の在り方、こども家庭ソーシャルワーカーの活用など)と、外部搬入による食事提供の要件や基準の取扱いが検討されています。
居宅訪問型児童発達支援
通所施設移行支援加算の算定上限回数の見直しが検討されています。
