児童発達支援や放課後等デイサービスでアセスメントシートを作成しても、聞き取った内容を並べるだけでは、個別支援計画の目標や具体的な支援内容につながりにくいことがあります。
アセスメントシートは、本人・家族の意向、現在の状況、強み、困りごとなどを整理し、事業所として取り組む支援ニーズを明確にするための記録です。この記事では、事実と見立ての書き分けや、集めた情報を個別支援計画へつなげるコツを整理します。

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アセスメントシートは何のために作成する?
アセスメントは、本人・家族の意向や生活状況、発達上の特性、強み、困りごとなどを把握し、必要な支援を整理する工程です。アセスメントシートは、その過程で確認した情報を記録し、個別支援計画の原案作成に活用するためのものです。
シートの欄を埋めること自体が目的ではありません。重要なのは、集めた情報から本人の支援ニーズを整理し、支援目標と具体的な支援内容へつなげることです。
- 本人・家族の意向を整理する
- 現在の生活状況を複数の視点から把握する
- 本人の強みと困りごとの背景を整理する
- 優先して取り組む支援ニーズを明確にする
- 個別支援計画の目標と支援内容の根拠を残す
アセスメントシートの内容から、なぜその支援目標を設定したのかを説明できる状態にしておくと、個別支援会議(担当者会議)や計画の見直しにも活用しやすくなります。
書き方の基本は「確認した事実」を具体的に残すこと
アセスメントシートには、抽象的な評価だけではなく、どのような場面で、本人がどのように行動したのかを具体的に記録します。
例えば、「集中力がない」とだけ書いても、どのような支援が必要かは分かりません。活動の内容、周囲の環境、継続できた時間、職員の働きかけなどを記載すると、本人の状態を共有しやすくなります。
| 抽象的な記載 | 具体的な記載の考え方 |
|---|---|
| 集中力がない | 集団活動では約5分で席を離れることがあるが、好きな制作活動では職員の声かけを受けながら約15分取り組める |
| コミュニケーションが苦手 | 要求は指差しで伝えられるが、困ったときに援助を求める言葉が出にくい |
| 切り替えが難しい | 自由遊びの終了を口頭だけで伝えると不安定になることがあるが、終了時刻を絵で示すと移動しやすい |
| 集団参加ができない | 大人数の活動では離席することがあるが、3人程度の小集団では見本を見ながら参加できる |
本人の行動だけでなく、その前後の状況や有効だった支援も記録することで、具体的な支援方法を検討しやすくなります。
事実・意向・見立てを分けて書く
アセスメントシートでは、実際に確認した事実、本人・家族の意向、職員の見立てが混ざりやすくなります。情報の種類を分けて記載することが、支援ニーズを適切に整理するための基本です。
- 事実:本人の発言、行動、生活状況、実際に行った支援と反応
- 本人の意向:本人が希望していること、選んだこと、拒否したこと
- 家族の意向:家族が希望する生活や支援、家庭で困っていること
- 職員の見立て:事実や意向をもとに考えた困りごとの背景、必要な支援
例えば、「集団活動が嫌い」と記載しても、本人が実際にそう話したのか、職員が行動から推測したのかが分かりません。本人が「音が大きいから入りたくない」と話した場合は本人の意向として記録し、騒がしい環境が参加に影響している可能性は職員の見立てとして分けます。
推測を事実として書かず、見立てには根拠となる情報を添えることが重要です。
本人と家族の意向を分けて整理する
本人と家族が希望することは、必ずしも同じではありません。そのため、アセスメントシートでは、本人の意向と家族の意向を分けて確認することが大切です。
本人が言葉で希望を伝えることが難しい場合は、表情、視線、選択、行動、拒否の反応なども手がかりになります。ただし、職員や家族の推測を、そのまま本人の意向として記載しないよう注意します。
- 本人がやってみたいことや続けたいこと
- 本人が不安に感じることや避けたいこと
- 家族が希望する生活や成長の方向性
- 家庭生活で困っていることや負担に感じること
- 事業所に期待する支援
意向が異なる場合は、どちらかを否定するのではなく、それぞれの希望と現在の状況を整理します。本人を中心に、事業所としてどのような支援ができるかを検討するための情報として活用します。
課題だけでなく本人の強みを書く
アセスメントシートが困りごとやできないことだけで埋まると、支援内容も不足を補うことばかりになりやすくなります。本人の得意なこと、興味、成功した経験、有効だった支援方法も記録することが重要です。
- 本人が得意としている活動や動作
- 興味を持ちやすい物やテーマ
- 安心して過ごせる人、場所、環境
- 理解しやすい説明や提示方法
- これまでうまくいった関わり方
- 本人が自分で行えていること
例えば、予定変更に不安を感じやすい場合でも、写真や予定表を確認すれば切り替えられるのであれば、その方法は本人の力を発揮するための重要な情報です。
強みを支援の手がかりとして書くことで、本人が取り組みやすい目標や具体的な支援内容を考えやすくなります。
困りごとは場面や背景とあわせて整理する
困りごとを本人の性格や能力だけの問題として書くと、具体的な支援方法を考えにくくなります。いつ、どこで、誰といるときに、どのような状況が起きるのかを確認しましょう。
- 困りごとが起きやすい時間や活動
- 周囲の人数、音、光、空間などの環境
- 本人へ伝えた内容や伝え方
- 行動が起きる前の出来事
- 本人が行動によって伝えようとしている可能性
- 落ち着いた対応や有効だった支援
例えば、「指示に従わない」と書くだけでは、本人が指示を理解できなかったのか、見通しが持てなかったのか、活動を続けたかったのかが分かりません。
本人の行動と環境との関係を整理することで、声かけ、視覚的な手がかり、活動量、空間などの調整を検討できます。
できる・できないの二択で評価しない
本人の状態は、「できる」「できない」だけでは十分に表せません。支援の有無、場所、相手、活動内容によって、できることが変わる場合があります。
アセスメントシートには、どの程度の支援があれば取り組めるのかを記載すると、現在の状態を具体的に捉えやすくなります。
- 一人で行える
- 見守りがあれば行える
- 声かけがあれば行える
- 見本や絵などの手がかりがあれば行える
- 職員と一緒であれば行える
- 環境を調整すれば取り組める
必要な支援の程度を記録しておくと、日々の支援方法を職員間で共有しやすくなります。また、モニタリング時に本人の変化を確認する手がかりにもなります。
情報の出所と確認した時期を分かるようにする
同じ本人についても、家庭、学校・園、事業所では様子が異なることがあります。アセスメントシートには、誰から、いつ、どの場面について得た情報なのかを確認できるようにしておきます。
- 本人から確認した情報
- 家族から聞き取った情報
- 事業所で職員が観察した情報
- 日々の支援記録から確認した情報
- 学校・園、医療、相談支援などから得た情報
- 情報を確認した日や対象期間
古い情報が現在も当てはまるとは限りません。過去の記録を参照する場合は、現在の状況を本人・家族や支援場面で確認します。
関係機関から情報を得る際は、本人・家族の同意や個人情報の取扱いに配慮し、必要な範囲で情報を共有することが大切です。
集めた情報から支援ニーズを整理する
アセスメントシートには多くの情報が集まりますが、そのすべてを個別支援計画の目標にするわけではありません。本人・家族の意向や生活上の優先度を踏まえ、事業所として取り組む支援ニーズを整理します。
- 本人・家族が希望する生活や活動を確認する
- 複数の情報から現在の状況と事実を整理する
- 本人の得意なことや有効な方法などの強みを整理する
- 困りごとが生じる場面や環境などの背景を考える
- 本人の生活への影響と優先度を踏まえ、支援ニーズを整理する
- 通所支援事業所として取り組む内容を個別支援計画へつなげる
例えば、「集団活動に参加できない」という情報を、そのまま課題にするとは限りません。本人が音の大きさに不安を感じているのであれば、静かな場所で予定を確認することや、少人数から参加することが支援ニーズとして考えられます。
本人を変えることだけでなく、環境や支援方法を調整する視点も持ちましょう。
アセスメントシートから個別支援計画へつなげる
アセスメントシートで整理した内容は、児童発達支援管理責任者(児発管)が中心となって個別支援計画の原案へ反映します。
| アセスメントで整理する内容 | 個別支援計画へのつなげ方 |
|---|---|
| 本人・家族の意向 | 本人が目指す生活や総合的な支援方針へ反映する |
| 現在の状況 | 目標を設定する際の出発点として整理する |
| 本人の強み | 本人が取り組みやすい支援方法へ生かす |
| 困りごとの背景 | 具体的な働きかけや環境調整へ反映する |
| 支援ニーズ | 長期目標・短期目標や具体的な支援内容へつなげる |
| 関係機関の情報 | 事業所の役割や連携方法を整理する |
計画の原案を作成した後は、アセスメントの内容と支援目標・支援内容の関係を説明できるかを確認します。
- 本人・家族の意向が計画へ反映されているか
- 現在の状況に合った目標になっているか
- 本人の強みを生かした支援内容になっているか
- 困りごとの背景に対応する支援になっているか
- 事業所が実施・記録できる内容になっているか
長期目標・短期目標の具体的な立て方については、「個別支援計画の書き方|長期目標・短期目標の立て方」で詳しく整理します。
作成後も日々の支援とモニタリングに活用する
アセスメントシートは、個別支援計画を作成したら使わなくなる書類ではありません。日々の支援、職員間の共有、モニタリング、計画の見直しに活用することが大切です。
- 職員間で本人の強みや有効な支援方法を共有する
- 日々の記録で確認する視点をそろえる
- 本人の変化や新たなニーズを追記する
- モニタリング時に計画作成時の状態と比較する
- 次回の個別支援計画の見直しへ反映する
本人の状況や生活環境、家族の意向は変化します。初回に作成した内容を固定せず、日々の支援で得た情報を反映しながら更新します。
アセスメント、個別支援計画、支援記録、モニタリングを関連づけることで、現在の本人に合った支援へ調整しやすくなります。
アセスメントシートで起こりやすい書き方のつまずき
アセスメントシートが計画作成に活用できているか、次のような状態がないか確認しましょう。
- 聞き取った内容を時系列に並べるだけになっている
- 「できない」「苦手」など抽象的な評価が多い
- 事実と職員の推測が区別されていない
- 本人の意向と家族の意向が混ざっている
- 困りごとばかりで本人の強みが書かれていない
- 情報が古く、現在の状況が反映されていない
- 支援ニーズの優先順位が整理されていない
- 個別支援計画の目標や支援内容との関係が分からない
多くの情報を記入していても、支援の方向性が見えなければ活用しにくくなります。何を確認し、どのように支援へつなげるのかが分かる記録を目指しましょう。
事業所で確認したいチェックポイント
個別支援計画の原案を作成する前に、アセスメントシートを次の視点で確認します。
- 本人・家族の意向を分けて記載しているか
- 確認した事実を具体的な場面とともに記載しているか
- 事実と職員の見立てを区別しているか
- 本人の強みや有効な支援方法を記載しているか
- 困りごとの背景や環境を整理しているか
- 情報の出所と確認時期が分かるか
- 事業所として取り組む支援ニーズを整理しているか
- 個別支援計画の目標と支援内容へつながっているか
- 日々の支援やモニタリングに活用できる内容か
特定の様式にすべての情報を詰め込む必要はありません。面談記録、観察記録、関係機関からの情報などを分けて管理する場合でも、必要な情報を関連づけて確認できる状態にしておきましょう。
まとめ
アセスメントシートは、聞き取った情報を保存するだけでなく、本人の支援ニーズを整理して個別支援計画へつなげるための記録です。
事実、本人・家族の意向、職員の見立てを分け、本人の強みや困りごとの背景も具体的に記載しましょう。アセスメントから支援目標・具体的な支援内容、日々の記録、モニタリングまでをつなげることが、シートを実際の支援に活用するポイントです。
参考資料
▶ AIによる作成支援を見る
