個別支援計画の書き方|長期目標・短期目標の立て方

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児童発達支援や放課後等デイサービスの個別支援計画を作成するとき、特に迷いやすいのが長期目標と短期目標の立て方です。「自立する」「コミュニケーション力を高める」といった表現だけでは、日々の支援やモニタリングで何を確認すればよいか分かりにくくなります。

目標は、事業所が取り組ませたい活動から考えるのではなく、アセスメントで把握した本人・家族の意向と支援ニーズから組み立てることが重要です。この記事では、長期目標と短期目標の役割、アセスメントから目標を立てる流れ、抽象的になりすぎない書き方を整理します。

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個別支援計画の目標は何のために設定する?

個別支援計画の目標は、本人が望む生活や成長の方向性を踏まえ、事業所が支援を通じて目指す状態を明確にするために設定します。

制度上、児童発達支援では児童発達支援計画、放課後等デイサービスでは放課後等デイサービス計画を作成します。この記事では、両方をまとめて個別支援計画と表記します。

目標が明確になると、職員は日々の支援で意識することを共有しやすくなります。また、本人・家族への説明や、支援の経過を振り返るモニタリングでも、変化を確認する基準になります。

  • 本人・家族と支援の方向性を共有する
  • 職員間で目指す状態をそろえる
  • 具体的な支援内容を考える基準にする
  • 支援による変化を振り返れるようにする

目標を書くこと自体が目的ではありません。本人に必要な支援を実施し、振り返り、次の計画へつなげるための目印として設定します。

長期目標と短期目標の違い

長期目標と短期目標は、同じ内容を期間だけ変えて書くものではありません。長期目標は目指す方向、短期目標はそこへ近づくための段階として整理します。

比較する項目長期目標短期目標
主な役割本人が目指す生活や成長の方向性を示す長期目標へ近づくために取り組む段階を示す
見る範囲生活や活動を比較的広い視点で捉える現在の状況から取り組める具体的な変化を捉える
書き方の視点本人がどのような状態を目指すかどのような場面で何ができるようになるか
振り返り方目指す方向へ近づいているかを確認する本人の変化や支援方法の適切さを具体的に確認する

長期目標を細かくしすぎると、生活全体の方向性が見えにくくなります。一方、短期目標が抽象的すぎると、日々の支援で何を行うか、モニタリングで何を評価するかが曖昧になります。

アセスメントから目標を立てる基本的な流れ

目標は、既存の例文や以前の計画から先に選ぶのではなく、アセスメントから本人に必要な支援を整理して設定することが基本です。

  1. 本人と家族が望む生活や活動を確認する
  2. 現在できていることや必要な支援をアセスメントする
  3. 本人の強み、困りごと、環境との関係を踏まえて支援ニーズを整理する
  4. 本人が目指す生活や成長の方向を長期目標として設定する
  5. 現在の状態から取り組む段階を短期目標として設定する
  6. 目標を実現するための具体的な支援内容を検討する
  7. 個別支援会議(担当者会議)で目標の妥当性を検討する

この流れを逆にして、事業所で実施している活動へ目標を合わせると、本人のニーズとの関係が弱くなりやすいため注意が必要です。

長期目標の立て方

長期目標は、個別の活動を達成することだけではなく、本人が生活や社会参加のなかで目指す状態を意識して設定します。

例えば、制作活動や運動活動への参加は支援の方法であり、それ自体が長期目標になるとは限りません。活動を通じて、本人がどのような生活を送れるようになることを目指すのかを考えます。

  • 本人が望む生活や活動につながっているか
  • 本人の強みや現在の状態を踏まえているか
  • 事業所だけでなく家庭や学校・園での生活も意識しているか
  • 短期目標を設定できる程度に方向性が明確か
  • 本人・家族が理解しやすい表現になっているか

「自立する」「社会性を身につける」といった広すぎる表現では、何を目指しているのかが分かりにくくなります。本人が、どのような場面で、どのように過ごせる状態を目指すのかまで整理しましょう。

短期目標の立て方

短期目標は、長期目標へ向かうために、現在の本人が次に取り組む段階を設定します。日々の支援で取り組め、モニタリングで変化を確認できる目標にすることがポイントです。

  • 現在の状態から無理なく取り組める段階か
  • 目標とする場面や行動が分かるか
  • 必要な声かけや環境調整を想定できるか
  • 日々の記録で経過を確認できるか
  • 長期目標とのつながりを説明できるか

最初から一人で行えることを目標にする必要はありません。「職員と一緒に」「見本を見ながら」「選択肢から選んで」など、必要な支援を受けながら取り組む段階も短期目標として考えられます。

抽象的すぎる目標を具体化する考え方

目標が抽象的になったときは、場面、本人の行動、必要な支援、目指す変化を分けて考えると具体化しやすくなります。

抽象的になりやすい表現具体化するときの確認視点
コミュニケーション力を高める誰に、どのような場面で、どのような方法で伝えることを目指すのか
社会性を身につける集団参加、順番、援助要請など、どの場面のどの行動を目指すのか
気持ちを切り替えるどのような場面で、どのような手がかりがあれば次の活動へ移れるのか
身辺自立を目指す食事、着替え、排せつ、持ち物管理など、何に取り組むのか
集団活動に参加するどの規模や活動なら、どの程度の支援を受けて参加するのか

例えば、「コミュニケーション力を高める」だけでは、本人が困ったときに援助を求めることを目指すのか、相手の話を聞くことを目指すのかが分かりません。

本人の現在の状態と、目標達成後に期待する変化の違いが分かる表現にすると、支援内容や評価方法を考えやすくなります。

すべての目標を数値化する必要はない

目標を評価しやすくするために、回数や時間を設定することがあります。ただし、すべての目標を数値だけで表す必要はありません

回数を達成することが目的になると、本人の気持ちや支援による変化を捉えにくくなる場合があります。数値化が適している項目と、場面や支援の程度を文章で確認する項目を使い分けます。

  • 回数や時間で確認する:活動への参加時間、援助要請の機会など
  • 支援の程度で確認する:一緒に行う、声かけで行う、見守りで行うなど
  • 場面の広がりで確認する:事業所内から家庭や学校・園へ広がったか
  • 本人の様子で確認する:安心して参加できたか、自分から選べたか

重要なのは、モニタリングで達成状況と支援方法の適切さを振り返れることです。数値を入れること自体を目的にしないようにしましょう。

本人が主語になる目標を意識する

個別支援計画は、本人に対して職員が何を行うかだけを書く計画ではありません。目標は、支援を受けながら本人がどのような状態を目指すのかを意識して記載します。

「職員が声をかける」「視覚的に提示する」といった内容は、目標ではなく支援方法に当たります。目標と支援方法を混同すると、本人の変化を評価しにくくなります。

  • 目標:本人が目指す状態や行動
  • 支援内容:目標に向けて事業所が行う働きかけ
  • 支援方法:声かけ、提示方法、環境調整などの具体的な方法

目標と具体的な支援内容の詳しい分け方は、「『支援目標』と『具体的な支援内容』の考え方|計画が形だけにならないために」で整理します。

本人・家族の意向を目標へつなげる

目標設定では、本人の意向、家族の意向、事業所としての見立てを整理します。家族の希望をそのまま目標へ転記するのではなく、本人の希望や現在の状態とあわせて考えることが重要です。

  • 本人はどのような生活や活動を望んでいるか
  • 家族はどのような生活や成長を希望しているか
  • 現在の本人が困っていることは何か
  • 本人の強みをどのように生かせるか
  • 事業所が担える支援は何か

本人と家族の意向が異なる場合は、どちらか一方を否定せず、それぞれを分けて把握します。そのうえで、本人を中心として、現在の状況から取り組める目標を検討します。

5領域は目標へ機械的に当てはめない

本人支援について5領域との関連を確認する場合も、領域ごとに同じ数の目標を機械的に作ることが目的ではありません。アセスメントで把握した支援ニーズをもとに目標を設定し、その目標がどの領域と関係するかを整理することが大切です。

  • 活動名から目標を考えない
  • 領域を埋めるためだけの目標を作らない
  • 一つの目標が複数の領域に関係する可能性を考える
  • 本人の個別性と支援の意図を優先する

5領域を個別支援計画へ反映する具体的な考え方は、「5領域を踏まえた個別支援計画の作成ポイント【令和6年度報酬改定】」で詳しく扱います。

長期目標と短期目標のつながりを点検する

長期目標と短期目標を作成した後は、二つの目標に一貫性があるか確認します。短期目標を達成すると、長期目標へどのように近づくのかを説明できることが重要です。

  • 短期目標が長期目標への段階になっているか
  • 長期目標と関係のない短期目標が混ざっていないか
  • 現在の本人にとって取り組める目標になっているか
  • 目標に対応する支援内容を設定できるか
  • 日々の記録とモニタリングで経過を確認できるか

短期目標が複数ある場合は、それぞれがどの長期目標につながるのかを整理しておくと、職員間で支援の方向性を共有しやすくなります。

目標設定で避けたい書き方

長期目標・短期目標を作成するときは、次のような状態になっていないか確認しましょう。

  • アセスメントを確認せず、過去の計画や例文を流用している
  • 「自立する」「成長する」など抽象的な言葉だけになっている
  • 事業所の活動予定がそのまま目標になっている
  • 職員の支援方法を本人の目標として書いている
  • 本人のできないことだけに注目している
  • 長期目標と短期目標の内容がつながっていない
  • 達成の判断が数値だけになっている
  • 現在の本人の状態と比べて目標が高すぎる、または低すぎる

例文を参考にする場合も、そのまま転記するのではなく、本人の意向、現在の状態、強み、生活環境に合わせて書き直すことが必要です。

個別支援会議と本人・家族への説明で確認する

原案を作成した後は、個別支援会議(担当者会議)で、目標が本人の状況や日々の支援に合っているかを検討します。

  • 現場職員から見て実際に取り組める目標か
  • 職員によって目標の解釈が変わらないか
  • 目標に対応する具体的な支援を行えるか
  • 本人の強みや有効な支援方法が反映されているか

本人・家族への説明では、計画書の文言を読み上げるだけでなく、なぜこの目標を設定したのかを分かりやすく伝えます。意見や希望があった場合は、必要に応じて目標を調整します。

本人・家族と事業所が目指す方向を共有できる目標になっているかを確認しましょう。

目標設定のチェックリスト

個別支援計画の原案を作成したら、次の項目を確認します。

  • アセスメントの内容を根拠に設定しているか
  • 本人・家族の意向が反映されているか
  • 本人の強みを生かせる目標になっているか
  • 長期目標が目指す生活や方向性を示しているか
  • 短期目標が長期目標への段階になっているか
  • 本人が取り組む場面や状態を想像できるか
  • 目標と支援内容を区別できているか
  • 日々の記録で経過を確認できるか
  • モニタリングで達成状況を振り返れるか
  • 本人・家族へ分かりやすく説明できるか

すべての目標を細かく書きすぎる必要はありません。本人が目指す方向と、現在取り組む段階が分かることを優先しましょう。

まとめ

長期目標は本人が目指す生活や成長の方向性、短期目標は長期目標へ近づくために現在取り組む段階として設定します。

目標は例文や活動内容から先に決めず、アセスメントで把握した本人・家族の意向、現在の状況、強み、支援ニーズから組み立てましょう。目標と支援内容、日々の記録、モニタリングをつなげることが、個別支援計画を実際の支援に生かすポイントです。

参考資料

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