「こども性暴力防止法」や「日本版DBS」という言葉を耳にし、自事業所も対象になるのか、どの職員について確認が必要なのか、何から準備すればよいのか迷っている放課後等デイサービス・児童発達支援の関係者もいるのではないでしょうか。
こども性暴力防止法は2026年12月25日に施行され、指定児童発達支援事業と指定放課後等デイサービス事業は、法律上の義務対象に含まれます。
施行に向けて必要なのは、対象職員の犯罪事実確認だけではありません。職員研修、相談体制、報告・対応ルール、採用手順、就業規則、犯罪事実確認情報の管理方法など、事業所全体の運用を見直す必要があります。この記事では、2026年7月21日時点の公表資料をもとに、対象職員の考え方と施行までに準備したいことを、放デイ・児発の実務に沿って整理します。
2026年12月25日の施行までに準備すること
2026年12月25日の施行までに、放課後等デイサービス・児童発達支援では、まず制度対応の担当者を決め、GビズIDとこども性暴力防止法関連システムの登録状況を確認します。あわせて、管理者、児童指導員、保育士、児童発達支援管理責任者、送迎職員などについて、職種と実際の業務内容から犯罪事実確認の対象者を整理します。さらに、不適切な行為の範囲、相談・報告の流れ、事案発生時の対応、職員研修、就業規則や採用書類、犯罪事実確認情報の管理方法を整えておく必要があります。
犯罪事実確認は、施行後に採用する職員だけでなく、既存職員も対象です。2026年12月25日時点で対象業務に従事している職員や、12月24日までに対象業務へ従事させることを決定した人についても、事業者が犯罪事実確認を行い、2029年12月24日までに完了させる必要があります。ただし、既存職員全員の確認を施行日までに終える必要があるわけではありません。施行前には対象者の洗い出しと職員への周知を進め、施行後に確認手続きを計画的に行える体制を整えましょう。

こども性暴力防止法とは
こども性暴力防止法は、こどもと接する業務を行う事業者に、性暴力を防止し、早期に把握・対応するための取組を求める法律です。
こどもを性暴力から守るための法律
法律の正式名称は、「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」です。
学校、保育所、児童福祉事業など、こどもと接する業務を行う事業者に対し、日常的な性暴力の防止、早期把握、相談対応、従事者への研修、犯罪事実確認、事案発生時の調査や被害を受けた可能性があるこどもの保護・支援などを求めています。
制度対応は、問題が起きた後の処分だけを目的とするものではありません。こどもが不安や違和感を伝えやすく、職員も迷った段階で報告・相談できる環境を日頃から整えることが重要です。
「日本版DBS」と呼ばれる理由
報道などでは「日本版DBS」と呼ばれていますが、性犯罪歴を確認するだけの制度ではありません。
犯罪事実確認は、こどもに接する対象業務へ従事する職員について、特定性犯罪事実への該当を確認する仕組みです。しかし、法律に基づく取組には、犯罪事実確認のほかにも次の内容が含まれます。
- 日常的な児童対象性暴力等の防止措置
- 児童対象性暴力等に至る前の不適切な行為の防止
- 職員への研修と制度周知
- こども・保護者・職員が利用できる相談体制
- 疑いが生じた場合の報告、調査、対応
- 被害を受けた可能性があるこどもの安全確保と支援
- 犯罪事実確認情報の厳格な管理
犯罪事実確認の申請だけを済ませても、法律への対応が完了したことにはなりません。
施行日は2026年12月25日
こども性暴力防止法の施行日は、2026年12月25日です。
職員の業務実態の整理、就業規則の見直し、相談体制の整備、研修計画、情報管理のルールづくりには時間がかかります。2026年12月25日の直前に一度に対応するのではなく、担当者を決めて段階的に準備を進めることが大切です。
放課後等デイサービス・児童発達支援は義務対象
指定児童発達支援事業と指定放課後等デイサービス事業は、事業者が任意で参加を選ぶ制度ではなく、法律上の義務対象です。
指定障害児通所支援事業は法律上の対象
指定障害児通所支援事業のうち、次の事業は「学校設置者等」として法律上の義務対象に含まれます。
- 指定児童発達支援事業
- 指定放課後等デイサービス事業
- 指定居宅訪問型児童発達支援事業
- 指定保育所等訪問支援事業
放デイ・児発では、法人や事業所が「制度に参加するかどうか」を選ぶのではなく、施行後に必要な措置を行えるよう準備する必要があります。
任意の認定制度との混同に注意
塾やスポーツクラブなど一部の民間事業者に設けられる認定制度と、指定放デイ・児発の義務対象としての位置づけは異なります。
指定を受けていない一部の民間教育保育等事業者には、申請による認定制度があります。一方、指定児童発達支援事業や指定放課後等デイサービス事業は義務対象です。
「認定を申請しなければ対象にならない」「認定マークを取得する事業所だけが対応すればよい」といった理解にならないよう、法人内や職員へ正確に周知しましょう。
犯罪事実確認の対象になる職員
対象職員は、職種全体が対象と示されている職員と、実際の業務内容から対象かどうかを判断する職員に分けて整理します。
児発・放デイで原則として対象になる職種
こども家庭庁のガイドラインでは、放デイ・児発について、職種全体が対象になる主な職種が示されています。
| 事業 | 職種全体が対象になると示されている主な職種 |
|---|---|
| 児童発達支援 | 管理者、児童指導員、児童発達支援管理責任者、機能訓練担当職員、看護職員、保育士、栄養士、指導員、報酬算定の対象として法令上規定されるその他の職員 |
| 放課後等デイサービス | 管理者、児童指導員、保育士、児童発達支援管理責任者、機能訓練担当職員、看護職員、指導員、報酬算定の対象として法令上規定されるその他の職員 |
同じ職種名でも、制度改正や配置状況によって確認事項が変わる可能性があります。対象者を確定するときは、この表だけで機械的に判断せず、最新のこども家庭庁ガイドラインと実際の業務内容を確認してください。
業務の実態によって判断する職員
送迎車両の運転手や事務職員などは、職種名や雇用契約の名称だけではなく、こどもとの接し方を含む実際の業務内容から判断します。
業務の実態によって対象になる可能性がある職員として、次のような例があります。
- 送迎車両の運転手
- 事務職員
- 調理員
- 嘱託医
- 委託先の従業者
- ボランティアや実習生
- 不定期または短期間勤務する職員
正社員、パート、アルバイト、派遣、業務委託などの雇用・契約形態だけで対象外になるわけではありません。短期間の勤務であっても、業務上、継続してこどもと接し、第三者の目が届きにくい状況が想定される場合は確認が必要です。
判断のポイントは「支配性・継続性・閉鎖性」
職種の一部が対象になり得る場合は、「支配性・継続性・閉鎖性」の3つを実際の業務に当てはめて判断します。
| 判断要素 | 主な考え方 | 放デイ・児発で確認する例 |
|---|---|---|
| 支配性 | 指導、監督、世話、コミュニケーションなどを通じて、職員がこどもに対して優越的な立場になる機会があるか | 活動の指示、見守り、送迎、生活介助などを職員が担当する |
| 継続性 | 一時的な接触ではなく、日常的、定期的、または反復継続してこどもと接することが見込まれるか | 毎週の勤務、定期的な送迎、繰り返し行う見守りや支援 |
| 閉鎖性 | ほかの職員や保護者など第三者の目が届かない状況でこどもと接する機会があるか | 送迎車内、個室、静養室、着替えや排泄介助、一対一のオンライン連絡 |
3つの要素は、職員の肩書ではなく、勤務中に想定される場面をもとに確認します。職員名簿だけを見るのではなく、送迎、個別支援、介助、見守り、連絡方法などを含む業務実態を一覧化することが重要です。
送迎職員と事務職員の具体例
こども家庭庁ガイドライン上の例では、同じ職種でも、こどもと一対一になる可能性や接触の継続性によって判断が分かれます。
- 送迎車内で運転手とこどもだけになる場面を日常的に担当する場合:対象となる可能性があります。
- 必ず別の支援職員が同乗し、運転手とこどもだけになる状況が想定されない場合:対象外となる可能性があります。
- 事務職員が、保護者面談中などに一人でこどもの見守りを担当する場合:対象となる可能性があります。
- 事務職員の業務が電話、請求、書類整理などに限定され、こどもとの接触がほとんどない場合:対象外となる可能性があります。
これらはガイドライン上の考え方を放デイ・児発の業務へ当てはめた例です。実際の対象者は、シフト、送迎ルート、同乗者、個別支援の担当状況などを確認して判断してください。
施行までに放デイ・児発が準備したいこと
「こども性暴力防止法施行(12月25日)に向けた義務事業者用準備ガイド Ver.1.0」では、制度周知、犯罪事実確認と防止措置、安全確保措置、情報管理措置などの準備が示されています。
申請手続きだけを準備するのではなく、現在の支援、採用、労務管理、相談対応、写真管理などを点検し、事業所の実態に合ったルールへ整える必要があります。
職員へ制度を周知する
施行直前に突然説明するのではなく、制度の目的と職員に必要となる対応を事前に周知します。
- こども性暴力防止法の目的
- 指定放デイ・児発が義務対象であること
- 対象職員を判断する考え方
- 施行後に犯罪事実確認が行われること
- 研修受講や申請手続きに職員の協力が必要になること
- 犯罪事実確認情報は厳格に管理されること
職員に不安や誤解が生じないよう、犯罪事実確認だけを強調せず、こどもと職員の双方が安心して支援に関われる環境を整える制度であることを説明します。
事業所内で「不適切な行為」を定める
児童対象性暴力等に至る前の不適切な行為を事業所内で具体化し、職員が迷ったときに確認できるルールへ反映します。
不適切な行為として検討したい例には、次のようなものがあります。
- 職員が個人のSNSでこどもや保護者と私的に連絡する
- 業務上の必要がないのに私物端末でこどもを撮影する
- 業務外でこどもと個人的に会う
- 支援上必要のない身体接触を行う
- 合理的な理由なく、特定のこどもを繰り返し一人で担当する
放デイ・児発では、身体介助、姿勢保持、発達支援などのために身体へ触れる必要がある場合もあります。身体接触を一律に禁止するのではなく、支援上の必要性、本人への説明、介助方法、記録、職員間での確認方法を整理します。
犯罪事実確認の対象職員を整理する
職員名と職種だけでなく、実際に担当する業務と、一対一になる可能性がある場面を一覧化します。
- こどもと一対一になる支援場面があるか
- 送迎中に職員とこどもだけになる可能性があるか
- 個別支援室や静養室を使用するか
- 排泄、着替え、入浴などの身体介助を行うか
- 事務職員が見守りや支援を担当することがあるか
- 非常勤、委託、短期雇用、ボランティア、実習生がいるか
- オンライン上でこどもと個別にやり取りすることがあるか
一覧には対象・対象外の結論だけでなく、判断の根拠となる業務内容も残すと、配置や業務内容が変わった際に見直しやすくなります。
就業規則や採用書類を見直す
犯罪事実確認や防止措置を円滑に進められるよう、就業規則、募集要項、誓約書、内定通知書などの見直しを検討します。
- 児童対象性暴力等と不適切な行為の禁止
- 犯罪事実確認手続きへの協力
- 疑いが生じた場合の調査への協力
- 違反した場合の懲戒に関する規定
- 試用期間や対象業務への配置判断に関する規定
- 採用時の特定性犯罪前科に関する事前申告方法
- 内定前後に行う確認手順
特定性犯罪前科に関する事前申告書は、採用段階での確認方法の一つですが、法律に基づく犯罪事実確認そのものに代わるものではありません。
犯罪事実確認の結果だけで自動的に内定取消しや解雇ができると考えず、労働契約法などを踏まえて個別に判断します。就業規則、配置転換、内定取消し、懲戒、解雇に関する判断は、必要に応じて社会保険労務士や弁護士などへ確認してください。
報告・相談・発生時対応のルールを整える
不適切な行為や性暴力の疑いを把握したときに、誰が、誰へ、どのように報告・対応するかを事前に決めます。
- 職員が不適切な行為を発見した場合の報告先
- こどもや保護者から相談を受ける窓口
- 管理者や法人責任者への連絡方法
- 事実確認を行う担当者と手順
- 被害を受けた可能性があるこどもの安全確保
- 保護者や関係機関への連絡・相談
- 記録の作成、保管、閲覧範囲
こどもが性暴力について相談できるよう、事業者内の相談員の選任または相談窓口の設置・周知を行い、外部相談窓口もあわせて案内します。保護者や職員からの相談・報告ルートについても事業所内で整理し、こどもの年齢や発達段階に応じて、言葉、掲示、イラストなど伝え方を検討しましょう。
職員研修の実施計画を立てる
こども家庭庁が公開する研修動画、研修資料、演習資料、理解度確認のための資料などを活用し、対象職員の受講を計画します。
動画のURLを職員へ送るだけでは、誰が受講したか、内容を理解できたかを確認できません。
- 研修対象となる職員
- 使用する研修教材
- 受講期限と研修日程
- 入職者や短期間勤務者への研修方法
- 受講状況と理解度の確認方法
- 欠席者や未受講者への対応
施行前の一回で終わらせず、新規採用時や業務変更時にも研修できる運用へ整えます。
犯罪事実確認情報の管理方法を決める
犯罪事実確認で取り扱う情報は非常に機微性が高いため、担当者、閲覧権限、保存方法、廃棄方法まで厳格に定めます。
- 情報を取り扱う担当者を必要最小限に限定する
- システムやデータの閲覧権限を設定する
- 紙で保存する場合は施錠できる場所で管理する
- 私物端末や通常の共有フォルダへ保存しない
- 確認結果を職員間で不用意に共有しない
- 情報漏えい時の連絡・報告手順を定める
- 保存期間と安全な廃棄方法を決める
こども家庭庁は、犯罪事実確認情報の閲覧者数や保存方法に応じた情報管理規程のひな形を公表しています。事業所の管理体制に合うひな形を確認し、規程を作成するだけでなく、実際の権限設定や保管環境まで整えます。
GビズIDと事業者登録の状況を確認する
こども性暴力防止法に関する手続きでは関連システムとGビズIDが使用されるため、法人・事業所の取得状況と管理担当者を確認します。
義務対象事業者は、2026年4月末頃までにGビズIDを取得し、2026年4月から7月の指定期間中に事業者情報を事前登録する必要があります。未登録または登録状況が不明な場合は、所轄庁等からの案内を至急確認してください。
- GビズIDを取得済みか
- 法人内で誰がアカウントを管理するか
- 事業者情報の登録状況に漏れや誤りがないか
- 所轄庁や指定権者から案内が届いているか
- 法人内の複数事業所を誰が取りまとめるか
- 担当者が不在のときの管理方法を決めているか
登録時期や具体的な手続きは、所轄庁等からの案内に沿って確認してください。未対応または登録状況が不明な場合は、GビズID取得・事業者情報登録の公式ページと所轄庁等からの案内を速やかに確認しましょう。
犯罪事実確認はいつ行うのか
2026年12月25日以降に内定や配置決定等が行われた職員、施行時現職者、確認後も継続して従事する職員で、犯罪事実確認の時期が異なります。
2026年12月25日以降に内定・配置決定する職員
2026年12月25日以降に、内定や異動内示などにより対象業務へ従事することが決まった職員は、原則として対象業務を開始する前に犯罪事実確認を行います。
一方、2026年12月24日以前に対象業務へ従事させることを決定していた人は、実際の従事開始が施行後であっても、施行時現職者として扱われます。
採用選考中の応募者全員について自由に確認する制度ではありません。内定や配置決定などにより、対象業務へ従事することが決まった人について手続きを進めます。
やむを得ない事情があり、対象業務開始前に確認する時間がない場合の特例も設けられていますが、通常の採用計画の遅れを補うために安易に利用するものではありません。最新のガイドラインと所轄庁等の案内を確認してください。
施行時現職者
施行時現職者には、2026年12月25日時点ですでに対象業務へ従事している職員だけでなく、2026年12月24日までに対象業務へ従事させることを決定し、施行後に従事を始める人も含まれます。犯罪事実確認は2029年12月24日までに行います。
犯罪事実確認の実施前に対象業務へ従事しなくなることがあらかじめ分かっている場合は、実施時期を前倒しして確認する必要はありません。再任用などにより従事を継続する場合は、施行時現職者として犯罪事実確認を行います。
施行時現職者全員について、2026年12月25日までに確認を完了しなければならないという意味ではありません。ただし、対象者の洗い出し、職員への周知、申請に必要な準備は施行前から進めます。
確認後も5年ごとに再確認する
犯罪事実確認は一度限りではなく、対象業務へ継続して従事する場合は原則として5年ごとに再確認します。
具体的には、確認日の翌日から5年を経過する日の属する年度末までに再確認する取扱いが示されています。事業所では、最初の確認日だけでなく、次回確認期限も管理表やシステムへ登録しておくことが重要です。
放デイ・児発で特に見直したい場面
放デイ・児発では、送迎、個室での支援、身体介助、写真管理など、日常業務の中に一対一や第三者の目が届きにくい場面がないかを確認します。
送迎時に職員とこどもだけになる場面
送迎職員を職種名だけで対象外とせず、送迎ルートと乗降順を含む車内の実態を確認します。
- 職員が一人で送迎するルートがあるか
- 最後に降ろすこどもと運転手だけになるか
- 別の支援職員が常に同乗しているか
- ルート変更時にも同じ体制を維持できるか
- 乗降時刻や同乗者を確認できる記録があるか
- 車内での異変や相談を報告する方法があるか
送迎表に運転手名だけを書くのではなく、同乗職員、乗降順、一対一になる可能性を確認できるようにします。
個別支援室や静養室での支援
個室の使用を一律に禁止するのではなく、支援の必要性を保ちながら、第三者の目が届く運用を検討します。
- 室内を外から確認できる窓や設備を設ける
- 支援上必要がなければ扉を完全に閉めない
- 使用した時間、目的、担当者を記録する
- ほかの職員へ場所と支援目的を共有する
- 長時間に及ぶ場合は途中で職員が確認する
- 必要に応じて複数職員で対応する
刺激を減らすための静かな場所が必要なこどももいます。安全確保のための対応が、本人に必要な個別支援を妨げないように検討しましょう。
排泄・着替え・身体介助
必要な排泄・着替え・身体介助まで一律に制限せず、本人の尊厳と安全を守れる介助方法を事業所内で整理します。
- 介助が必要となる理由と範囲
- 介助前に本人へ説明する方法
- 本人の意思や拒否の確認方法
- 同性介助を含む職員配置の考え方
- 扉、カーテン、見守り方法のバランス
- 介助内容と気づきを記録する方法
- 普段と異なる様子を確認した場合の報告先
介助する職員個人の判断に任せず、本人ごとの個別支援計画や介助手順と、事業所共通の安全ルールをつなげます。
写真撮影・SNS・私物端末
写真を誰が、何の目的で、どの端末で撮影し、どこへ保存・掲載できるかを明文化します。
- 撮影に使用できる事業所端末
- 撮影目的と撮影できる場面
- 写真・動画の保存先と閲覧権限
- 保護者同意の内容と有効期間
- ホームページやSNSへ掲載する際の承認手順
- 職員個人の端末やSNSアカウントを使用しないこと
- 退職・異動時のデータ確認と削除
活動記録として撮影する場合でも、目的外利用や私的な保存を防げる運用になっているかを確認します。
異変を言葉で伝えにくいこどもへの配慮
嫌だったことや異変を言葉で伝えにくいこどもについては、表情、行動、生活リズムなどの変化も含めて早期に把握できる環境を整えます。
発達段階や障害特性などによって、出来事を整理して後から説明することが難しい場合があります。これは、こども本人を危険視するものではなく、事業所側がより丁寧な見守りと相談手段を用意する必要があるという考え方です。
一対一の場面を確認する際も、同じ場所にほかのこどもがいるという理由だけで安全と判断しないようにします。周囲のこどもや職員が状況を認識できるか、本人が後から伝えられる方法があるかも確認します。
- 表情や行動の変化を日々の記録へ残す
- 言葉以外の相談・意思表示の方法を用意する
- 特定の職員や場所を避ける様子がないか確認する
- 保護者から家庭での変化を確認する
- 職員間で小さな違和感を共有できるようにする
まず取り組みたい5つの手順
最初からすべての規程を完成させようとせず、担当者の決定、登録状況の確認、業務実態の整理から始めます。
- 法人または事業所の担当者を決める
制度情報の確認、所轄庁等との連絡、職員名簿、研修、規程整備を誰が取りまとめるか決めます。 - GビズIDと事業者登録の状況を確認する
アカウントの取得・管理者、登録済み事業所、所轄庁等からの案内を確認します。 - 職員の職種と実際の業務内容を一覧化する
送迎、一対一の支援、身体介助、個室利用、見守りなどを含めて対象者を整理します。 - 報告、相談、採用、就業規則、情報管理のルールを見直す
現在の規程や書類を確認し、不足している内容と修正担当者を整理します。 - 職員への説明と研修の予定を決める
研修対象、教材、実施日、受講確認方法を決め、施行前に周知を進めます。
犯罪事実確認の申請だけを済ませれば対応完了ではありません。日常の支援、採用、相談、研修、情報管理を含めた体制づくりとして進めましょう。
こども性暴力防止法に関するよくある質問
放デイ・児発の義務対象としての位置づけ、職員の範囲、確認時期、情報管理について、誤解しやすい点を整理します。
放デイ・児発は認定を受けなければ対象になりませんか
指定児童発達支援事業と指定放課後等デイサービス事業は法律上の義務対象であり、任意認定を受けた場合だけ対象になる制度ではありません。
塾やスポーツクラブなど一部の民間事業者に設けられる認定制度とは位置づけが異なります。
事業所で働くすべての職員が対象ですか
すべての職員が一律に対象になるのではなく、職種全体が対象となる職員と、実際の業務内容によって判断する職員がいます。
管理者、児童指導員、保育士、児発管などは、職種全体が対象になる主な職種として示されています。事務職員、送迎運転手、調理員などは、支配性・継続性・閉鎖性を業務実態へ当てはめて判断します。
現在勤務している職員も確認が必要ですか
はい。2026年12月25日時点で対象業務に従事している職員だけでなく、2026年12月24日までに対象業務へ従事させることを決定した人も、施行時現職者に含まれます。確認期限は2029年12月24日までです。
2026年12月25日までに施行時現職者全員の確認を完了する必要があるという意味ではありません。ただし、対象者の整理や職員への説明は施行前から進めます。
本人から特定性犯罪前科がないと申告してもらえばよいですか
採用時の事前申告書は確認方法の一つですが、法律に基づく犯罪事実確認そのものに代わるものではありません。
採用募集要項、誓約書、内定通知書などの見直しと、施行後の犯罪事実確認手続きは分けて整理します。
確認結果を管理者や職員間で共有してよいですか
犯罪事実確認の結果は必要以上に共有せず、情報を取り扱う担当者を必要最小限に限定します。
管理者という役職だけを理由に、全員が詳細情報を閲覧できる運用にはしません。誰がシステム上の情報を確認し、どの情報を記録・保存するかを情報管理規程で定め、権限を設定します。
まとめ
こども性暴力防止法は2026年12月25日に施行され、指定児童発達支援事業と指定放課後等デイサービス事業は法律上の義務対象です。
犯罪事実確認の対象となる職員は、職種だけでなく、こどもとの接触における支配性・継続性・閉鎖性を含む実際の業務内容から判断します。送迎運転手や事務職員などは、こどもと一対一になる場面や見守り業務の有無を具体的に確認することが必要です。
施行までに必要なのは、犯罪事実確認の準備だけではありません。職員研修、相談・報告体制、採用手順、就業規則、不適切な行為のルール、写真や私物端末の管理、犯罪事実確認情報の管理方法などを事業所全体で見直します。
制度やシステムの案内は、施行に向けて更新される可能性があります。最新のこども家庭庁資料と所轄庁等からの案内を確認しながら準備を進めてください。制度への対応を単なる行政手続きで終わらせず、こども、保護者、職員が安心して過ごせる環境づくりへつなげましょう。
