強度行動障害を有する児への支援【令和6年度報酬改定】

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令和6年度報酬改定では、強度行動障害を有する児への支援について、支援体制や支援計画の考え方が見直されています。

強度行動障害を有する児への支援では、こどもの行動だけを見るのではなく、環境関わり方見通しの持ちやすさ感覚面の特性などを踏まえて、計画的に支援を行うことが重要です。

また、強度行動障害児支援加算を確認する場合は、事業所の判断だけで対象とするのではなく、市町村による判定児基準の点数を確認する必要があります。

この記事では、児童発達支援・放課後等デイサービスに関わる強度行動障害児支援加算と、令和6年度報酬改定で新設された集中的支援加算について整理します。

強度行動障害とは

強度行動障害とは、自傷、他害、物を壊す、強いこだわり、激しい不安定さなどにより、本人や周囲の生活に大きな影響が出ている状態を指します。

ただし、強度行動障害は、こども本人の性格や意思だけで起きているものとして見るのではなく、障害特性環境支援の入り方などが重なって生じている状態として理解することが大切です。

支援では、行動を止めることだけを目的にするのではなく、本人が安心して過ごせる環境を整えることや、困りごとが起きにくい関わり方を考えることが重要になります。

対象児は市町村の判定を確認する

強度行動障害を有する児に該当するかどうかは、事業所が独自に判断するものではありません。

強度行動障害児支援加算では、対象となる児について、市町村による判定を確認する必要があります。

判定では、こどもの行動の状態を確認し、児基準に基づいて点数を確認します。

こども家庭庁の資料では、強度行動障害を有する児として、児基準20点以上が示されています。

放課後等デイサービスでは、加算の区分として、児基準20点以上の児を対象とする区分と、児基準30点以上の児を対象とする区分があります。

そのため、算定を確認する際は、こどもの様子だけで判断するのではなく、市町村の判定児基準の点数を確認し、どの区分に該当するのかを整理しておく必要があります。

確認方法は自治体によって異なる場合があります。受給者証、確認票、自治体からの案内など、どの資料で確認するのかをあらかじめ確認しておきましょう。

児童発達支援の強度行動障害児支援加算

児童発達支援では、強度行動障害児支援加算について、支援スキルのある職員の配置や支援計画の作成を求めたうえで、評価が見直されています。

改定後は、強度行動障害支援者養成研修の実践研修修了者を配置し、強度行動障害を有する児に対して、支援計画を作成し、その計画に基づいて支援を行うことが求められています。

単位数は、200単位/日です。

また、加算開始から90日以内の期間については、さらに500単位/日を加算する扱いが示されています。

児童発達支援で確認したいポイントは、対象児の判定実践研修修了者の配置支援計画シートに基づいた支援です。

放課後等デイサービスの強度行動障害児支援加算

放課後等デイサービスでは、強度行動障害児支援加算が、児の状態に応じて2つの区分に整理されています。

  • 強度行動障害児支援加算(Ⅰ):児基準20点以上、200単位/日
  • 強度行動障害児支援加算(Ⅱ):児基準30点以上、250単位/日

加算(Ⅰ)は、強度行動障害支援者養成研修の実践研修修了者を配置し、支援計画を作成したうえで、その計画に基づいて支援を行う場合に確認します。

加算(Ⅱ)は、より状態の重い児への支援として、強度行動障害支援者養成研修の中核的人材養成研修を修了した職員を配置し、児基準30点以上の児に対して支援計画に基づく支援を行う場合に確認します。

放課後等デイサービスでも、加算開始から90日以内の期間について、さらに500単位/日を加算する扱いが示されています。

請求時には、児基準20点以上か30点以上かどの研修修了者を根拠にしているか支援計画に基づいた支援が行われているかを確認しましょう。

研修修了者の配置を確認する

強度行動障害児支援加算では、研修修了者の配置が重要です。

児童発達支援では、強度行動障害支援者養成研修の実践研修修了者を配置することが確認ポイントになります。

放課後等デイサービスの加算(Ⅰ)でも、実践研修修了者の配置が必要です。

放課後等デイサービスの加算(Ⅱ)では、より専門性の高い支援として、中核的人材養成研修を修了した職員の配置が求められます。

請求時には、どの研修を修了した職員を根拠にしているのかを確認できるようにしておくことが大切です。

支援計画シートを作成する

強度行動障害児支援加算では、支援計画シートの作成が重要な要件になります。

支援計画シートは、こどもの状態や行動の背景、支援の方法を整理し、職員間で一貫した支援を行うためのものです。

確認したい内容としては、次のようなものがあります。

  • 対象児の状態や困りごと
  • 行動が起きやすい場面やきっかけ
  • 環境面の配慮
  • 関わり方の方針
  • 本人が安心しやすい支援方法
  • 危険を避けるための対応
  • 職員間で共有する注意点

支援計画シートは、作成するだけでなく、実際の支援に使われていることが大切です。

計画に基づいた支援を行う

強度行動障害児支援加算では、支援計画シートに基づいて支援を行うことが求められています。

つまり、対象児がいることや研修修了者を配置していることだけではなく、日々の支援が計画とつながっていることが必要です。

たとえば、見通しを持ちやすくするための視覚的な手がかり、刺激を調整するための環境づくり、こどもが落ち着きやすい関わり方などを、計画に沿って実施します。

支援内容が職員によってばらばらになると、こども本人の不安や混乱につながることがあります。

そのため、計画を職員間で共有し、同じ方針で支援できる体制を整えることが重要です。

90日以内の加算を確認する

強度行動障害児支援加算では、加算開始から90日以内の期間について、さらに500単位/日を加算する扱いがあります。

この期間は、支援の開始直後に、こどもの状態を把握し、支援計画を整え、支援体制を安定させていくための重要な時期です。

請求時には、加算開始日を確認し、90日以内の期間に該当しているかを整理しておく必要があります。

また、90日以内の加算を算定する場合でも、支援計画シート支援記録が整っていることが前提になります。

集中的支援加算とは

令和6年度報酬改定では、児童発達支援・放課後等デイサービスにおいて、集中的支援加算が新設されました。

集中的支援加算は、強度行動障害を有する児の状態が悪化し、障害児通所支援の利用や日常生活の維持が困難な状態になっている場合に確認する加算です。

集中的支援加算でも、対象児について市町村による判定を確認する必要があります。

高度な専門性を有する広域的支援人材が、事業所を訪問したり、オンライン等を活用したりして、対象児や事業所に対して集中的な支援を行う場合に算定します。

単位数は、1000単位/日です。

算定できる期間は3月以内で、1月に4回を限度とされています。

広域的支援人材との連携を確認する

集中的支援加算では、広域的支援人材が中心となって支援を行うことが重要です。

広域的支援人材とは、強度行動障害を有する児者の支援に関して高度な専門性を有すると都道府県等が認めた人材です。

事業所内だけで対応するのではなく、外部の専門人材の助言や支援を受けながら、対象児の状態や支援環境を見直します。

そのため、集中的支援加算を確認する際は、誰が広域的支援人材として関わったのか、またどのような支援を行ったのかを記録で確認できるようにしておく必要があります。

集中的支援で確認したい内容

集中的支援では、対象児の状態や事業所の支援体制をアセスメントし、支援の改善につなげていくことが重要です。

確認したい内容としては、次のようなものがあります。

  • 対象児の状態が悪化している状況
  • 利用や日常生活の維持が困難になっている理由
  • 市町村による対象児の判定
  • 広域的支援人材の関与
  • 対象児と事業所のアセスメント内容
  • 見直した支援方法
  • 職員への助言内容
  • 支援後の変化や今後の対応

集中的支援加算は、状態が悪化したときの特別な支援として位置付けられるため、通常の支援記録とは別に、支援の経過がわかるように整理しておくと確認しやすくなります。

他の加算との関係に注意する

強度行動障害を有する児への支援では、他の加算と関係する場合があります。

たとえば、個別サポート加算や専門的支援に関する加算など、同じこどもに複数の加算が関わることがあります。

請求時には、同じ支援内容を複数の加算で重複して評価していないかを確認することが大切です。

特に強度行動障害児支援加算では、対象児の判定、研修修了者の配置、支援計画シート、支援記録など、確認すべき根拠が多くなります。

そのため、どの加算を、どの根拠で算定しているのかを整理しておくと安心です。

記録に残しておきたい内容

強度行動障害を有する児への支援では、支援内容と経過を記録しておくことが重要です。

記録には、次のような内容を残しておくと確認しやすくなります。

  • 対象児の判定や点数
  • 市町村による判定の確認内容
  • 研修修了者の配置状況
  • 支援計画シートの作成日
  • 支援計画シートの内容
  • 支援計画に基づいて行った支援内容
  • こどもの様子や変化
  • 職員間で共有した内容
  • 90日以内の加算開始日と期間
  • 集中的支援加算の場合、広域的支援人材の関与内容

強度行動障害を有する児への支援では、計画と記録のつながりが特に重要です。

請求時に確認したいポイント

強度行動障害児支援加算・集中的支援加算を確認する際は、次の点を見ておくとよいでしょう。

  • 市町村による対象児の判定を確認しているか
  • 対象児が児基準20点以上に該当するか
  • 放課後等デイサービスの加算(Ⅱ)の場合、児基準30点以上に該当するか
  • 必要な研修修了者を配置しているか
  • 研修修了者の修了証や配置状況を確認できるか
  • 支援計画シートを作成しているか
  • 支援計画シートに基づいた支援を行っているか
  • 支援内容やこどもの様子を記録しているか
  • 90日以内の加算を算定する場合、加算開始日と期間を確認しているか
  • 集中的支援加算の場合、市町村による判定を確認しているか
  • 広域的支援人材の関与内容を記録しているか
  • 3月以内・月4回までの算定上限を確認しているか
  • 他の加算と重複して評価していないか

支援体制・計画・記録の整合性が重要

強度行動障害を有する児への支援では、こどもの状態を正しく理解し、支援体制を整えたうえで、計画に基づいて一貫した支援を行うことが重要です。

加算の算定では、対象児の判定だけでなく、研修修了者の配置支援計画シート日々の支援記録が確認されます。

また、状態が悪化している場合には、集中的支援加算により、広域的支援人材の関与を受けながら支援を見直すこともあります。

請求時には、対象児の判定職員配置支援計画実施記録算定期間を確認し、実際の支援内容と請求内容にずれがないように整理しておきましょう。

確認ポイント

強度行動障害を有する児への支援では、対象児の判定だけでなく、支援体制支援計画シート日々の記録が重要です。

強度行動障害児支援加算では、市町村による判定、研修修了者の配置、計画に基づいた一貫した支援が確認ポイントになります。

集中的支援加算では、対象児の判定に加えて、広域的支援人材の関与、算定期間や回数上限を確認する必要があります。

事業所だけで対象児を判断するのではなく、児基準の点数や市町村の判定を確認し、必要な記録を残しておきましょう。

実際の算定や届出にあたっては、こども家庭庁の資料に加えて、関係する告示、通知、事務連絡、自治体からの案内も確認しておきましょう。

出典:こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定(障害児支援関係)の改定事項の概要」