令和6年度報酬改定では、専門的な支援に関する加算が見直され、専門的支援体制加算と専門的支援実施加算として整理されました。
この2つの加算は名前が似ていますが、確認するポイントが異なります。
専門的支援体制加算は、専門職員を配置している体制を評価する加算です。
専門的支援実施加算は、専門職員が個別・集中的な専門的支援を計画的に行った場合に評価される加算です。
この記事では、専門的支援体制加算と専門的支援実施加算の違い、算定時に確認しておきたい計画・記録・請求上のポイントを整理します。

専門的支援体制加算とは
専門的支援体制加算は、専門的な支援を行うために、基準の人員に加えて専門職員を配置している場合に算定する加算です。
つまり、確認の中心になるのは、専門職員を配置している体制があるかという点です。
対象となる専門職員としては、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、保育士、児童指導員、心理担当職員、視覚障害児支援担当職員などが示されています。
ただし、保育士や児童指導員については、資格取得または任用から5年以上、児童福祉事業に従事した者に限るとされています。
専門的支援実施加算とは
専門的支援実施加算は、専門職員が、こども一人ひとりの状況に合わせて、個別・集中的な専門的支援を計画的に実施した場合に算定する加算です。
こちらは、専門職員を配置しているだけではなく、専門的支援実施計画を作成し、実際に支援を行うことが重要になります。
支援内容は、個別支援計画を踏まえたうえで、5領域のうち特定の領域、または複数の領域に重点を置いたものとして整理します。
たとえば、ことばややりとりに関する支援、感覚面への配慮、姿勢や運動面への支援、認知面や行動面への支援など、こどものニーズに応じて専門的な支援内容を計画します。
体制加算と実施加算の違い
専門的支援体制加算と専門的支援実施加算は、次のように整理するとわかりやすくなります。
- 専門的支援体制加算:専門職員を配置している体制を評価するもの
- 専門的支援実施加算:専門職員が個別・集中的な支援を計画的に実施したことを評価するもの
体制加算は、専門職員の配置が中心です。
実施加算は、支援計画、実施内容、記録が中心です。
そのため、請求時には「専門職員がいるか」だけでなく、どの加算を算定するための根拠を確認しているのかを分けて見る必要があります。
両方を算定できる場合がある
専門的支援体制加算と専門的支援実施加算は、要件を満たす場合、併せて算定できる場合があります。
こども家庭庁の資料でも、専門的支援実施加算について、専門的支援体制加算との併算定が可能であることが示されています。
ただし、併算定できるからといって、同じ確認で済むわけではありません。
体制加算では配置状況を確認し、実施加算では個別・集中的な支援の計画と実施内容を確認する必要があります。
専門的支援実施計画を作成する
専門的支援実施加算を算定する場合は、専門的支援実施計画の作成が必要です。
専門的支援実施計画では、こどものアセスメントや個別支援計画を踏まえ、どのような専門的支援を行うのかを整理します。
確認したい内容としては、次のようなものがあります。
- 支援が必要な理由
- 重点的に支援する領域
- 具体的な支援内容
- 実施する職員の職種や専門性
- 実施頻度や実施予定
- 支援後の記録や振り返り
専門的支援実施計画は、単なる形式的な書類ではありません。なぜその専門的支援が必要なのかを説明するための根拠になります。
5領域との関係を整理する
専門的支援実施加算では、5領域との関係も確認しておく必要があります。
専門的支援は、特定の領域に重点を置く場合もあれば、複数の領域にまたがる場合もあります。
たとえば、言語聴覚士による支援であっても、言語・コミュニケーションだけでなく、人間関係・社会性や認知・行動と関係することがあります。
作業療法士による支援であれば、運動・感覚だけでなく、日常生活動作に関わる健康・生活や、活動への参加に関わる認知・行動とつながることもあります。
専門職名だけで判断するのではなく、その支援がこどものどの領域に働きかけるものなのかを整理しておくことが大切です。
実施した内容を記録する
専門的支援実施加算では、計画だけでなく、実際に行った支援内容の記録も重要です。
記録では、専門職員がどのような支援を行い、こどもの様子や反応がどうだったのかを確認できるようにしておく必要があります。
記録に残しておきたい内容としては、次のようなものがあります。
- 実施日
- 支援を行った職員
- 支援内容
- こどもの様子や反応
- 次回以降の支援につなげる視点
特に専門的支援実施加算は、個別・集中的な支援を評価するものです。
日々の一般的な支援記録とは分けて、専門的支援として何を行ったのかがわかるようにしておくと確認しやすくなります。
算定回数の上限を確認する
専門的支援実施加算は、1回あたり150単位とされ、原則として月4回を限度とされています。
また、利用日数等に応じて最大月6回を限度とする場合もあります。放課後等デイサービスでは、月2回から最大月6回を限度とする扱いが示されています。
そのため、算定する場合は、月の算定回数が上限を超えていないかを確認する必要があります。
専門的支援を実施した日や回数を記録上でも確認できるようにしておくと、請求時の確認がしやすくなります。
児童指導員等加配加算との関係
前の記事で整理した児童指導員等加配加算と、専門的支援体制加算・専門的支援実施加算は、職員配置の確認で関係することがあります。
令和6年度報酬改定では、児童指導員等加配加算について、専門職による支援の評価は専門的支援加算により行う形に整理されています。
そのため、専門職員を配置している場合は、児童指導員等加配加算として見るのか、専門的支援体制加算として見るのか、また実際の支援を専門的支援実施加算として算定するのかを整理する必要があります。
同じ職員を根拠にする場合でも、加算ごとに確認する要件が異なります。職員配置と算定する加算の対応関係を明確にしておくことが大切です。
請求時に確認したいポイント
専門的支援体制加算・専門的支援実施加算を確認する際は、次の点を見ておくとよいでしょう。
- 専門的支援体制加算として、基準人員に加えて専門職員を配置しているか
- 対象となる専門職員の職種や経験要件を確認しているか
- 届出内容と実際の配置にずれがないか
- 専門的支援実施加算として、専門的支援実施計画を作成しているか
- 個別支援計画を踏まえた支援内容になっているか
- 5領域のうち、どの領域に重点を置く支援なのか整理されているか
- 実施日、支援内容、こどもの様子を記録しているか
- 月の算定回数が上限を超えていないか
- 児童指導員等加配加算など、他の加算との関係を整理しているか
配置・計画・記録の整合性が重要
専門的支援に関する加算では、職員配置、支援計画、実施記録、請求内容の整合性が重要です。
専門職員を配置しているだけなのか、実際に個別・集中的な専門的支援を行っているのかによって、確認する加算が変わります。
また、専門的支援実施加算を算定する場合は、支援の必要性、計画、実施内容、記録がつながっていることが大切です。
請求時には、専門職員の配置状況だけで判断せず、どの加算を算定するのか、その根拠となる資料が整っているかを確認しておくと、算定誤りを防ぎやすくなります。
確認ポイント
専門的支援体制加算と専門的支援実施加算は、名前は似ていますが、確認する内容が異なります。
専門的支援体制加算では、専門職員の配置や届出内容を確認します。
専門的支援実施加算では、専門的支援実施計画、実施内容、記録、算定回数の上限を確認します。
どちらの加算を算定する場合も、配置・計画・記録・請求内容がつながっているかを見直しておくことが大切です。
実際の算定や届出にあたっては、こども家庭庁の資料に加えて、関係する告示、通知、事務連絡、自治体からの案内も確認しておきましょう。
