令和6年度報酬改定では、こども本人への支援だけでなく、家族への支援もより重視されています。
児童発達支援・放課後等デイサービスでは、保護者や家族に対して、こどもの特性や関わり方について相談援助を行う場面があります。
また、保護者に支援場面を実際に見てもらったり、参加してもらったりすることで、家庭での関わり方につなげていく支援もあります。
ここで混同しやすいのが、家族支援加算と子育てサポート加算の違いです。
大きく整理すると、家族支援加算は相談援助、子育てサポート加算は支援場面の観察・参加を伴う相談援助が中心です。
この記事では、家族支援加算と子育てサポート加算の違いを、面談、家族会、保護者の来所、支援場面への参加の有無も含めて整理します。

まず違いを整理する
家族支援加算と子育てサポート加算は、どちらも家族への支援に関する加算です。
ただし、加算として確認する中心は異なります。
- 家族支援加算:保護者や家族への相談援助を中心に確認する
- 子育てサポート加算:保護者が支援場面を観察・参加し、その場面をもとに相談援助を行うことを確認する
家族支援加算では、保護者が事業所に来所して支援場面を見ることまでは必須ではありません。
居宅、事業所、オンラインなどで、こどもの特性や家庭での困りごとについて相談援助を行う場合に確認します。
一方で、子育てサポート加算では、保護者が実際の支援場面を観察したり、参加したりすることが重要なポイントになります。
迷ったときは、まず保護者が支援場面を見たか・参加したかを確認すると整理しやすくなります。
支援場面の観察や参加を伴わない相談援助であれば、家族支援加算として確認する内容に近くなります。
支援場面の観察や参加を伴い、その場面をもとにこどもの特性や関わり方について相談援助を行った場合は、子育てサポート加算として確認する内容に近くなります。
家族支援加算とは
家族支援加算は、障害児の家族等に対して、相談援助を行った場合に確認する加算です。
相談援助の内容としては、こどもの特性、家庭での困りごと、日常生活での関わり方、支援の方向性などが考えられます。
単なる連絡や報告ではなく、家族の不安や困りごとに対して、支援の視点から相談援助を行うことが大切です。
たとえば、家庭での対応に悩んでいる保護者と一緒に、こどもの特性に合った関わり方を整理するような場面が考えられます。
また、事業所での様子を踏まえて、家庭での声かけや環境調整について一緒に確認することもあります。
家族支援加算では、こどもが同席していない場合でも算定できるとされています。ただし、必要に応じてこどもも同席するなど、効果的な支援となるように行うことが求められます。
家族支援加算では来所が必須とは限らない
家族支援加算は、保護者が事業所に来所して支援場面を見なければならない加算ではありません。
相談援助の実施場所や方法としては、居宅、事業所、学校、オンラインなどが考えられます。
そのため、保護者との面談やオンライン相談などで、こどもの特性や家庭での困りごとについて相談援助を行った場合は、家族支援加算として確認する内容に近くなります。
一方で、単なる欠席連絡、送迎時の短いやりとり、日々の報告だけでは、相談援助として十分か確認が必要です。
記録上も、何について相談援助を行ったのか、どのような助言や整理を行ったのかがわかるようにしておきましょう。
面談は家族支援加算として確認する場面がある
保護者との個別面談は、家族支援加算として確認する場面があります。
たとえば、面談の中で、こどもの特性、家庭での困りごと、生活上の課題、今後の支援方針などについて相談援助を行った場合です。
この場合、保護者が支援場面を観察したり参加したりしていなくても、相談援助としての内容があれば、家族支援加算として確認する内容に近くなります。
ただし、「面談をした」という事実だけで判断するのではなく、相談援助としての目的と実施内容を確認することが大切です。
面談記録には、保護者から相談を受けた内容、職員が行った助言、今後の支援方針、家庭での関わり方などを残しておくと確認しやすくなります。
家族会は内容によって整理が変わる
家族会や保護者会については、名称だけで加算の対象かどうかを判断しないようにしましょう。
保護者同士の交流や情報交換が中心の家族会の場合は、加算の対象となる相談援助として整理できるか慎重に確認が必要です。
一方で、職員が関わり、こどもの特性や家庭での関わり方について相談援助を行う内容であれば、家族支援加算のグループでの相談援助として確認する場面があります。
たとえば、ペアレントトレーニング、保護者同士のピアの取組、家庭での関わり方をテーマにしたグループ相談などは、家族支援加算として確認する内容に近くなります。
家族会を加算の根拠として確認する場合は、相談援助としての目的、職員の関与、実施内容、参加者、記録を確認しておきましょう。
個別の相談援助とグループの相談援助
家族支援加算では、相談援助の形として、個別で行う場合とグループで行う場合があります。
個別の相談援助では、保護者や家族と個別に話し合い、こどもの状況や家庭での対応について確認します。
グループでの相談援助では、複数の保護者が参加し、ペアレントトレーニングや保護者同士のピアの取組などを行うことが想定されています。
グループで実施する場合は、最大8世帯までを1組として行うことが示されています。
また、グループでの相談援助は、家族支援に一定の経験を有する職員のもとで行うことが望ましいとされています。
家族会や保護者向けの集まりを行う場合も、グループ相談として整理するのであれば、参加世帯数や職員の関与、相談援助の内容を記録しておくことが大切です。
対面・オンラインでの相談援助
家族支援加算では、相談援助の実施方法として、対面やオンラインが考えられます。
対面の場合は、事業所で行う場合のほか、居宅や学校など、事業所以外の場所で行う場合もあります。
オンラインで相談援助を行う場合は、原則としてカメラを使用して実施することが示されています。
ただし、家族側の通信環境など、やむを得ない事情がある場合には、その限りではありません。
オンラインで相談援助を行う場合も、単に短い確認をするだけではなく、相談内容の要点を記録できる程度の支援として実施することが大切です。
30分未満の場合に注意する
相談援助の実施時間にも注意が必要です。
こども家庭庁の資料では、事業所等やオンラインで実施する場合、30分未満の場合は算定不可とされています。
そのため、相談援助を行った場合は、実施方法だけでなく、実施時間も確認しておく必要があります。
特にオンラインや事業所での相談は、短時間のやりとりになりやすいため、算定対象となる相談援助として実施できているかを確認しておくと安心です。
面談や家族会の場合も、算定対象として確認する場合は、実施時間を記録しておきましょう。
同じ日に算定する場合の考え方
家族支援加算では、同じ日に複数の相談援助を行う場合、算定できる組み合わせに注意が必要です。
個別の相談援助を同じ日に複数の方法で行った場合、たとえば居宅訪問とオンラインを同じ日に実施した場合は、いずれか一方のみの算定となります。
一方で、個別の相談援助とグループでの相談援助を同じ日に実施した場合は、要件を満たせば併算定できる場合があります。
同じ日に複数の家族支援を行う場合は、個別なのか、グループなのか、また同じ内容を重複して算定していないかを確認することが大切です。
多機能型事業所での算定回数に注意する
多機能型事業所の場合、同じこどもが児童発達支援と放課後等デイサービスなど、複数のサービスを利用していることがあります。
この場合、同じこどもに対する家族支援加算の算定回数は、各サービスで別々に考えるのではなく、通算して確認する必要があります。
資料では、児童発達支援・放課後等デイサービスとの多機能型事業所である場合、同一の児に係る家族支援加算の算定回数は通算し、合計で月4回を限度とすることが示されています。
そのため、多機能型事業所では、サービスごとの算定ではなく、同じこども単位で月の回数を確認することが重要です。
子育てサポート加算とは
子育てサポート加算は、令和6年度報酬改定で新設された加算です。
家族が支援場面を観察したり、実際に参加したりする機会を通じて、こどもの特性や関わり方について理解を深めることを目的としています。
単位数は、80単位/回で、月4回を限度とされています。
家族支援加算が相談援助を中心とするのに対し、子育てサポート加算は、支援場面の観察や参加を通じて、関わり方を学ぶ機会を提供することが中心です。
子育てサポート加算では支援場面の観察や参加が必要
子育てサポート加算では、保護者に対して、支援場面の観察や参加等の機会を提供することが必要です。
たとえば、こどもが活動に取り組む様子を保護者に見てもらい、その場面をもとに、こどもの特性や関わり方について相談援助を行うことが考えられます。
また、保護者が支援場面に参加し、職員の関わり方を見たり、実際にこどもとの関わりを経験したりすることも想定されます。
資料では、機会の提供について、児童発達支援を提供する時間帯を通じて、家族等が直接支援場面の観察や参加等をしていることを基本とするとされています。
そのため、子育てサポート加算では、保護者が支援場面を見たか・参加したかを確認できることが重要です。
子育てサポート加算は来所や参加の意味を確認する
子育てサポート加算では、保護者が事業所に来たという事実だけではなく、支援場面の観察や参加を通じた支援になっているかを確認します。
たとえば、保護者が支援中の様子を見て、職員がこどもの特性や関わり方について説明し、家庭での対応につなげるよう相談援助を行った場合は、子育てサポート加算として確認する内容に近くなります。
一方で、保護者が書類提出や送迎のために来所しただけの場合や、支援場面を見ていない場合は、子育てサポート加算として整理するのは難しい可能性があります。
子育てサポート加算を確認する際は、来所の有無だけでなく、支援場面の観察・参加があったか、その場面をもとに相談援助を行ったかを記録で確認できるようにしておきましょう。
支援場面を見た後の面談は子育てサポート加算に関係する場合がある
面談の中でも、支援場面を見た後の振り返り面談は、子育てサポート加算に関係する場合があります。
たとえば、保護者が実際の支援場面を観察し、その後に職員と一緒にこどもの反応、声かけの方法、環境調整、家庭での関わり方について確認するような場面です。
この場合は、単なる面談ではなく、支援場面の観察・参加をもとにした相談援助として整理できます。
一方で、支援場面の観察や参加がなく、面談だけで家庭での困りごとを相談した場合は、家族支援加算として確認する内容に近くなります。
面談をどちらの加算として整理するか迷う場合は、支援場面を見た後の振り返りなのか、それとも通常の相談援助なのかを確認しましょう。
個別支援計画への位置付けと同意を確認する
子育てサポート加算を算定する場合は、あらかじめ通所給付決定保護者の同意を得たうえで、個別支援計画に位置付け、従業者が計画的に実施することが求められています。
そのため、支援場面を見てもらったから自動的に算定できる、というものではありません。
事前に、保護者の同意、個別支援計画への位置付け、計画的な実施が確認できる状態にしておく必要があります。
実施後は、観察や参加の内容、相談援助の内容、保護者へ伝えたことなどを記録しておくと、請求時にも確認しやすくなります。
迷いやすい場面
家族支援加算と子育てサポート加算で迷いやすいのは、保護者と話をした場面です。
たとえば、保護者と事業所やオンラインで、家庭での困りごとやこどもへの関わり方について相談援助を行った場合は、家族支援加算として確認する内容に近いと考えられます。
この場合、保護者が支援場面を見たり、実際に参加したりしていないのであれば、子育てサポート加算ではなく、家族支援加算として整理する方が自然です。
一方で、保護者が実際の支援場面を観察したり、支援に参加したりし、その場面をもとに職員がこどもの特性や関わり方について相談援助を行った場合は、子育てサポート加算として確認する内容に近くなります。
家族会についても、保護者同士の交流だけであれば加算対象として整理できるか慎重に確認が必要です。職員が関わり、相談援助として実施している場合は、家族支援加算のグループ相談として確認する場面があります。
つまり、保護者との面談・相談が中心なのか、それとも支援場面の観察・参加をもとにした相談援助なのかを分けて確認することが大切です。
ただし、実際の算定では、実施方法、実施時間、個別支援計画への位置付け、保護者の同意、算定回数なども関係します。
違いだけで判断せず、それぞれの算定要件を満たしているかを確認しておきましょう。
記録に残しておきたい内容
家族支援加算や子育てサポート加算を算定する場合は、実施内容を記録しておく必要があります。
記録には、次のような内容を残しておくと確認しやすくなります。
- 実施日
- 実施方法
- 参加した家族等
- 面談や家族会の目的
- 相談援助の内容
- 支援場面の観察・参加の有無
- 保護者に伝えた内容
- 職員が行った助言や整理の内容
- グループ相談の場合の参加世帯数
- 今後の家庭での関わり方や支援方針
- 個別支援計画への反映が必要かどうか
特に子育てサポート加算では、支援場面の観察や参加を通じて、どのような相談援助を行ったのかが確認できるようにしておくことが大切です。
家族支援加算では、保護者との相談内容が、単なる連絡や報告ではなく、相談援助として整理できる内容になっているかを確認しましょう。
請求時に確認したいポイント
家族支援加算・子育てサポート加算を確認する際は、次の点を見ておくとよいでしょう。
- 家族支援加算として、相談援助の内容を記録しているか
- 面談の場合、相談援助としての内容が記録されているか
- 家族会の場合、単なる交流ではなく相談援助として整理できる内容か
- 個別相談か、グループ相談かを確認しているか
- グループ相談として行う場合、参加世帯数や職員の関与を確認しているか
- オンラインの場合、実施方法や通信環境を確認しているか
- 事業所等・オンラインでの相談援助が30分未満になっていないか
- 同じ日に複数の相談援助を行った場合、算定できる組み合わせか
- 多機能型事業所の場合、同じこどもについて月の算定回数を通算しているか
- 子育てサポート加算として、保護者の同意を得ているか
- 個別支援計画に位置付けて、計画的に実施しているか
- 保護者が支援場面を観察・参加したかを確認しているか
- 支援場面の観察後の面談か、通常の相談援助かを分けて確認しているか
- 支援場面の観察・参加がない場合、子育てサポート加算として扱っていないか
- こどもの特性や関わり方について相談援助を行っているか
- 月4回の算定上限を超えていないか
家族支援は実施内容と記録のつながりが重要
家族支援加算・子育てサポート加算では、何を実施し、どのような相談援助を行い、どのように記録しているかが重要です。
保護者と話をしたことだけで終わらせず、相談援助の内容や支援場面とのつながりを記録しておくことで、支援の目的が確認しやすくなります。
また、家庭での関わり方や、こどもの特性理解につながる内容は、必要に応じて個別支援計画や日々の支援にも反映していくことが大切です。
請求時には、相談援助の実施方法、記録、算定回数、個別支援計画への位置付けなどを確認し、支援内容と請求内容にずれがないように整理しておきましょう。
確認ポイント
家族支援加算と子育てサポート加算は、どちらも家族への支援に関する加算ですが、確認する内容が異なります。
家族支援加算では、相談援助の方法、内容、時間、記録、算定回数を確認します。
子育てサポート加算では、保護者の同意、個別支援計画への位置付け、支援場面の観察・参加、相談援助の記録を確認します。
迷ったときは、相談援助だけなのか、それとも支援場面の観察・参加を伴うのかを分けて整理しましょう。
特に、保護者が支援場面を見たか・参加したかは、子育てサポート加算を確認するうえで重要なポイントです。
面談は家族支援加算として確認する場面がありますが、支援場面を見た後の振り返り面談であれば、子育てサポート加算との関係も確認が必要です。
家族会は、保護者同士の交流だけでなく、職員が相談援助として関与しているかを確認しましょう。
実際の算定や届出にあたっては、こども家庭庁の資料に加えて、関係する告示、通知、事務連絡、自治体からの案内も確認しておきましょう。
