令和6年度報酬改定では、放課後等デイサービスにおいて、不登校の状態にある障害児への支援を評価する加算が新設されました。
新設されたのは、個別サポート加算(Ⅲ)です。
この加算は、不登校の状態にある障害児に対して、学校や家族と連携しながら支援を行う場合に確認するものです。
ここで注意したいのは、不登校の状態にあるこどもであれば、誰でも放課後等デイサービスを利用できるという意味ではないことです。
対象となるのは、障害児通所給付費の給付決定を受けて、放課後等デイサービスを利用している障害児です。
この記事では、個別サポート加算(Ⅲ)について、対象となる児童の考え方、学校や家族との連携、記録、請求時に確認したいポイントを整理します。

個別サポート加算(Ⅲ)とは
個別サポート加算(Ⅲ)は、放課後等デイサービスにおいて、不登校の状態にある障害児に対して、学校や家族と緊密に連携しながら支援を行った場合に確認する加算です。
対象となるサービスは、放課後等デイサービスです。
単位数は、70単位/日とされています。
この加算では、単に放課後等デイサービスを利用しているだけではなく、学校との情報共有や家族への相談援助を行いながら支援していることが重要です。
不登校だけで放課後等デイサービスの対象になるわけではない
個別サポート加算(Ⅲ)は、不登校の状態にあるこどもすべてを対象とするものではありません。
対象となるのは、障害児通所給付費の給付決定を受けて、放課後等デイサービスを利用している障害児です。
そのため、不登校の状態にあるという理由だけで、受給者証がなくても放課後等デイサービスを利用できる、という意味ではありません。
また、個別サポート加算(Ⅲ)については、強度行動障害児支援加算のように、市町村があらかじめ対象児として判定し、受給者証に印字する扱いではありません。
ただし、これは受給者証そのものが不要という意味ではありません。
あくまで、個別サポート加算(Ⅲ)の対象であることを、事前に市町村が判定して受給者証に印字する必要はない、という意味です。
請求時には、放課後等デイサービスを利用している障害児であること、不登校の状態にあること、学校や家庭との連携を行っていることを記録で確認できるようにしておきましょう。
対象となる児童を確認する
個別サポート加算(Ⅲ)の対象となるのは、不登校の状態にある障害児です。
資料では、不登校の状態について、心理的、情緒的、身体的、社会的な要因や背景により、登校しない、または登校したくてもできない状況にあるため、長期間継続的または断続的に欠席している児童とされています。
ただし、病気や経済的な理由による欠席は除くとされています。
そのため、欠席しているという事実だけで判断するのではなく、不登校の背景、本人や家族の状況、学校との情報共有の必要性を確認することが大切です。
対象となるかどうかは、学校・家庭・事業所の共通理解のもとで確認します。
市町村による事前判定や受給者証への印字は不要ですが、市町村から確認があった場合に説明できるよう、判断の根拠となる記録を残しておきましょう。
学校との連携が必要
個別サポート加算(Ⅲ)では、学校との連携が重要な要件になります。
個別支援計画の作成にあたっては、学校と連携して作成を行うことが求められています。
また、学校との情報共有を、対面またはオンラインで、月に1回以上行う必要があります。
学校との情報共有では、こどもの不登校の状態、登校状況、学校での様子、事業所での支援状況などを確認し、支援の方向性を整理します。
情報共有を行った場合は、その要点を記録し、学校に共有する必要があります。
学校との連携は、対象児であることを確認するうえでも重要です。事業所だけで判断せず、学校と情報を共有しながら支援の必要性を確認していきましょう。
関係機関連携加算との重複に注意する
学校との情報共有については、個別サポート加算(Ⅲ)の要件として行う連携です。
そのため、この学校との連携について、関係機関連携加算(Ⅰ)(Ⅱ)は算定できないとされています。
同じ学校連携を、個別サポート加算(Ⅲ)と関係機関連携加算の両方で評価しないように注意が必要です。
請求時には、学校との連携がどの加算の根拠になっているのかを整理しておくと安心です。
家族への相談援助を行う
個別サポート加算(Ⅲ)では、学校との連携だけでなく、家族への相談援助も必要です。
家族への相談援助は、居宅への訪問、対面、オンラインのいずれの方法でも可能とされています。
実施頻度は、月に1回以上です。
相談援助では、障害児や家族の意向、家庭での状況、支援の実施状況などを把握し、必要な情報を共有します。
実施した場合は、その要点を記録しておく必要があります。
不登校の状態にあるこどもへの支援では、本人だけでなく、家族の不安や困りごとを把握し、家庭での過ごし方や学校との関係も含めて支援を考えることが大切です。
家族支援加算との重複に注意する
個別サポート加算(Ⅲ)の要件として行う家族への相談援助については、家族支援加算は算定できないとされています。
つまり、同じ相談援助を、個別サポート加算(Ⅲ)と家族支援加算の両方で評価することはできません。
家族への相談援助を行った場合は、それが個別サポート加算(Ⅲ)の要件としての相談援助なのか、家族支援加算として算定する相談援助なのかを確認しておく必要があります。
同じ内容を重複して算定しないように、記録上も整理しておくと確認しやすくなります。
個別支援計画への位置付けが必要
個別サポート加算(Ⅲ)を算定する場合は、あらかじめ保護者の同意を得たうえで、個別支援計画に位置付けて支援を行うことが必要です。
個別支援計画には、不登校の状態にあるこどもに対して、どのような支援を行うのかを整理します。
確認したい内容としては、次のようなものがあります。
- 不登校の状態や背景
- 本人や家族の意向
- 学校との連携内容
- 事業所で行う支援内容
- 家族への相談援助の内容
- 支援の継続の必要性
- 今後の登校状況や生活状況を踏まえた支援方針
個別支援計画は、学校との連携を踏まえて作成する必要があります。
そのため、事業所内だけで内容を完結させず、学校と情報共有した内容を支援計画に反映することが大切です。
学校・家庭・事業所の共通理解で確認する
個別サポート加算(Ⅲ)では、市町村が事前に対象児を判定して受給者証に印字するのではなく、学校・家庭・事業所の共通理解のもとで、支援の必要性を確認することが大切です。
たとえば、学校との情報共有の中で、登校状況や学校での様子を確認します。
また、家族への相談援助の中で、家庭での状況、本人や家族の意向、事業所での支援状況を確認します。
これらを踏まえて、放課後等デイサービスでどのような支援が必要なのかを整理します。
対象児かどうかを確認する際は、不登校の状態、学校との連携、家族との連携、個別支援計画への位置付けを一体で確認しましょう。
支援継続の必要性を学校と検討する
個別サポート加算(Ⅲ)では、学校との情報共有の中で、不登校の状態について確認し、支援の継続の要否を検討することが求められています。
こどもの状態や登校状況は、時間の経過とともに変化することがあります。
そのため、一度加算の対象になったらそのまま継続するのではなく、学校と事業所の間で、本加算による支援を続ける必要があるかを確認していくことが重要です。
その結果、個別サポート加算(Ⅲ)による支援を終える場合でも、その後の支援において学校との連携に努めることが示されています。
市町村から確認があった場合に対応する
個別サポート加算(Ⅲ)では、強度行動障害児支援加算のように、市町村があらかじめ対象児として判定し、受給者証に印字する扱いではありません。
ただし、市町村は報酬請求の審査にあたり、必要に応じて、学校や家庭との連携状況、不登校の状態にある障害児への支援状況などを確認する場合があります。
そのため、事業所は、市町村から確認があった場合に説明できるよう、学校連携、家族への相談援助、個別支援計画への位置付け、支援の実施状況を記録しておくことが大切です。
確認を受けたときに説明できるよう、日頃から記録を整理しておきましょう。
記録に残しておきたい内容
個別サポート加算(Ⅲ)を算定する場合は、学校連携、家族支援、支援内容の記録が重要です。
記録には、次のような内容を残しておくと確認しやすくなります。
- 障害児通所給付費の給付決定を受けていること
- 放課後等デイサービスの利用児であること
- 保護者の同意を得た日
- 個別支援計画への位置付け
- 不登校の状態や欠席状況
- 病気や経済的理由による欠席ではないことの確認
- 学校との情報共有を行った日
- 学校との情報共有の方法
- 学校と共有した内容の要点
- 家族への相談援助を行った日
- 家族への相談援助の方法
- 本人や家族の意向、状況の把握内容
- 事業所での支援実施状況
- 支援継続の要否を検討した内容
- 市町村から確認があった場合の回答内容
不登校児童への支援では、学校、家族、事業所の支援がつながっていることが重要です。
請求時に確認したいポイント
個別サポート加算(Ⅲ)を確認する際は、次の点を見ておくとよいでしょう。
- 対象が放課後等デイサービスであるか
- 障害児通所給付費の給付決定を受けている障害児であるか
- 不登校の状態にある障害児として整理できるか
- 受給者証なしで利用できるという誤解がないか
- 病気や経済的理由による欠席ではないか
- あらかじめ保護者の同意を得ているか
- 個別支援計画に位置付けて支援しているか
- 個別支援計画を学校と連携して作成しているか
- 学校との情報共有を月1回以上行っているか
- 学校との情報共有の要点を記録し、学校に共有しているか
- 学校連携について、関係機関連携加算(Ⅰ)(Ⅱ)を重複算定していないか
- 家族への相談援助を月1回以上行っているか
- 家族への相談援助の要点を記録しているか
- 家族への相談援助について、家族支援加算を重複算定していないか
- 学校と支援継続の要否を検討しているか
- 市町村から確認があった場合に回答できる記録があるか
学校・家族・事業所の連携が重要
不登校児童への支援では、放課後等デイサービスだけで支援を完結させるのではなく、学校や家族と連携しながら、こどもの状態に合わせた支援を行うことが重要です。
個別サポート加算(Ⅲ)では、学校との情報共有、家族への相談援助、個別支援計画への位置付けが大きな確認ポイントになります。
また、市町村による事前判定や受給者証への加算対象印字は不要ですが、これは受給者証そのものが不要という意味ではありません。
請求時には、放課後等デイサービスを利用している障害児であること、不登校の状態にあること、学校・家庭・事業所の共通理解のもとで支援していることを確認できるようにしておきましょう。
確認ポイント
個別サポート加算(Ⅲ)は、放課後等デイサービスにおいて、不登校の状態にある障害児への支援を評価する加算です。
不登校の状態にあることだけで、受給者証がなくても放課後等デイサービスを利用できるという意味ではありません。
対象となるのは、障害児通所給付費の給付決定を受けて、放課後等デイサービスを利用している障害児です。
また、市町村による事前判定や受給者証への加算対象印字は不要ですが、市町村から確認があった場合に説明できる記録は必要です。
学校連携は関係機関連携加算、家族への相談援助は家族支援加算と重複して算定できない場合があるため、どの支援をどの加算の根拠として扱うのかを整理しておきましょう。
実際の算定や届出にあたっては、こども家庭庁の資料に加えて、関係する告示、通知、事務連絡、自治体からの案内も確認しておきましょう。
