児童発達支援と放課後等デイサービスを一体的に運営する多機能型事業所では、「特例による多機能」と「特例によらない多機能」という区分を目にすることがあります。
両者の大きな違いは、多機能型事業所における従業者の員数等に関する特例を利用するかどうかと、基本報酬を確認するときの定員規模の考え方です。
特例による多機能では、従業者の員数等に関する特例を利用し、基本報酬は原則として複数サービスの利用定員を合計した規模で確認します。特例によらない多機能では、各サービスで通常必要となる職員をそれぞれ配置し、各サービスの利用定員の規模に応じて基本報酬を確認します。
この記事では、児童発達支援と放課後等デイサービスを組み合わせる場合を中心に、人員配置、利用定員、設備、報酬算定上の違いと、指定・届出時に確認したいポイントを整理します。障害児通所支援と生活介護などの障害福祉サービスを組み合わせる場合は、人員の取扱いが異なるため、組み合わせごとの確認が必要です。
※この記事は、令和8年7月時点の制度、通知、Q&Aに基づいています。

多機能型事業所とは
多機能型事業所とは、児童発達支援や放課後等デイサービスなど、対象となる二つ以上の事業を一体的に行う事業所です。
障害児通所支援では、次のような組み合わせが考えられます。
- 児童発達支援と放課後等デイサービス
- 児童発達支援と保育所等訪問支援
- 放課後等デイサービスと保育所等訪問支援
- 児童発達支援と居宅訪問型児童発達支援
- 障害児通所支援と生活介護などの障害福祉サービス
新規に同一敷地内で児童発達支援と放課後等デイサービスなど複数の指定通所支援を行う場合は、原則として一つの多機能型事業所として取り扱われます。
同一法人が異なる場所で複数の指定通所支援を行う場合は、それぞれの利用定員が5人以上であること、事業所間の距離が概ね30分以内で移動可能であり、児童発達支援管理責任者の業務の遂行上支障がないことなどの人員・設備に関する要件を満たす必要があります。
あわせて、利用申込みの調整や職員への技術指導、勤務体制、苦情処理、運営規程、人事・給与・福利厚生、会計などが一体的または一元的に管理されている場合は、一つの多機能型事業所として取り扱うことが可能です。指定申請書、運営規程、職員配置、設備の利用方法と指定権者への届出内容を確認します。
特例による多機能と特例によらない多機能の違い
実務上の主な判断軸は、従業者の員数等に関する特例を利用しているか、各サービスで通常必要となる人員をそれぞれ確保しているかです。
| 確認項目 | 特例による多機能 | 特例によらない多機能 |
|---|---|---|
| 人員配置 | 従業者の員数等に関する特例を利用する。指定通所支援のみを行う多機能型では、サービス間で従業者を兼務できる | 管理者を除き、各サービスで通常必要となる人員をそれぞれ配置する |
| 基本報酬の定員規模 | 原則として複数サービスの利用定員を合計した規模で確認する | 各サービスの利用定員の規模で確認する |
| 職員の勤務管理 | 適用している特例、担当サービス、勤務時間、必要員数を確認する | 各サービスの勤務時間と必要員数を分けて確認する |
| 設備(両区分共通) | 相談室、洗面所、便所及び多目的室等は、サービス提供に支障がない範囲で兼用できる。発達支援室の取扱いは指定権者へ確認する | 相談室、洗面所、便所及び多目的室等は、サービス提供に支障がない範囲で兼用できる。発達支援室の取扱いは指定権者へ確認する |
自治体の届出様式や請求システムでは、「特例による多機能型」「特例によらない多機能型」などの名称が使われることがあります。
名称だけで区分を選択せず、指定権者へ届け出ている職員配置と、実際の勤務状況が一致しているかを確認することが重要です。
特例による多機能とは
特例による多機能は、多機能型事業所における従業者の員数等に関する特例を利用する形です。
児童発達支援と放課後等デイサービスなど、指定通所支援の事業のみを行う多機能型事業所では、各指定障害児通所支援事業所ごとに配置される従業者間の兼務を可能とする特例が適用されます(基準第80条)。一方、利用定員の合計が20人未満の場合に常勤の従業者を1人以上とする特例は、指定通所支援の事業のみを行う多機能型事業所には適用されません。児童発達支援と放課後等デイサービスを組み合わせる場合の常勤要件の満たし方は、職員の勤務時間や兼務状況を記載した勤務形態一覧表を示して、指定権者へ確認してください。
指定通所支援のみの場合は職員を兼務できる
指定通所支援の事業だけを行う多機能型事業所では、多機能型事業所全体の職務に専従する従業者が、児童発達支援と放課後等デイサービスなどのサービス間で兼務できます。この取扱いは、基準第80条と、その解釈通知「第八 多機能型事業所に関する特例」の1(1)で示されています。
たとえば、午前中は児童発達支援、午後は放課後等デイサービスを提供し、同じ児童指導員や保育士が時間帯を分けて担当する運営が考えられます。
ただし、障害児通所支援と生活介護などの障害福祉サービスを組み合わせる多機能型では、管理者、児童発達支援管理責任者、サービス管理責任者を除き、各サービスごとに配置される従業者間の兼務は認められず、各サービスに必要な従業者の員数を確保する必要があります。この取扱いは、障害者総合支援法側の解釈通知「第十六 多機能型に関する特例」の2(3)で示されています。指定通所支援のみを行う場合と同じ兼務ルールではないため、組み合わせごとの人員基準を確認します。
ただし、兼務できることと、同じ職員を複数の配置へ同時に重複して数えられることは同じではありません。
- 各時間帯に実際に提供しているサービス
- 各サービスを利用している障害児の人数
- サービス提供単位ごとに必要となる職員数
- 職員が実際に担当している業務と勤務時間
児童発達支援と放課後等デイサービスを同じ時間帯に提供する場合は、それぞれの利用状況と支援体制を踏まえ、必要な人員が実際に配置されているかを確認します。
基本報酬は原則として合計定員で確認する
特例による多機能型事業所の基本報酬は、原則として、実施する複数サービスの利用定員を合計した規模で確認します。この考え方は、こども家庭庁「障害福祉サービス等報酬(障害児支援)に関するQ&A」問7で示されています。
たとえば、次のような多機能型事業所を考えます。
- 児童発達支援:利用定員10人
- 放課後等デイサービス:利用定員10人
従業者の員数等に関する特例を利用している場合は、原則として合計20人の定員規模に対応する基本報酬区分を、児童発達支援と放課後等デイサービスのそれぞれで確認します。
サービスごとの定員が10人であっても、特例による多機能では、基本報酬の定員区分まで自動的に「10人以下」になるわけではありません。
設備を兼用できる場合がある
多機能型事業所では、各指定通所支援ごとに必要とされる相談室、洗面所、便所及び多目的室等を兼用できます。この設備に関する特例は、基準第81条と、その解釈通知「第八 多機能型事業所に関する特例」の2で示されており、児童発達支援と放課後等デイサービスだけを組み合わせる多機能型事業所にも適用されます。
ただし、多機能型事業所全体の利用定員に比べて設備が明らかに狭い場合など、サービス提供に支障があると認められる場合は兼用できません。
発達支援室は、解釈通知で兼用できる設備として示された例に含まれていません。発達支援室の専用・兼用の取扱いは、必要な面積、安全性、提供時間、同時利用人数、動線を整理し、平面図と実際の運用を示して指定権者へ確認します。
利用定員にも特例がある
障害児通所支援だけを行う多機能型事業所は、複数の指定通所支援を通じた利用定員の合計を10人以上とすることができます。
主として重症心身障害児を通わせる多機能型事業所では、合計5人以上とできる場合があります。また、障害児通所支援と障害福祉サービスを一体的に行う場合は、別の定員要件が定められています。
こども家庭庁「障害福祉サービス等報酬(障害児支援)に関するQ&A」問6では、サービスごとに利用定員を設定することが困難な場合、複数サービスの合計利用定員で設定できる考え方も示されています。なお、保育所等訪問支援には利用定員の定めがないため、この利用定員の特例からは除かれます。
人員、設備、利用定員にはそれぞれ別の特例があるため、「特例による多機能」という名称だけですべての取扱いを一括して判断しないことが大切です。
特例によらない多機能とは
特例によらない多機能は、多機能型事業所として一体的に運営しながら、従業者の員数等に関する特例によらず、各サービスで通常必要となる職員をそれぞれ配置する形です。
各サービスの人員基準を独立して満たす
児童発達支援と放課後等デイサービスについて、管理者を除く通常必要な職員を、それぞれのサービスで配置していることが基本となります。この取扱いは、こども家庭庁「障害福祉サービス等報酬(障害児支援)に関するQ&A」問7で示されています。
たとえば、児童発達支援と放課後等デイサービスを同時に提供する場合は、児童指導員または保育士などの必要員数を、それぞれのサービスで満たせる体制を整えます。
勤務形態一覧表では、次の点を確認します。
- 児童発達支援に配置する職員と勤務時間
- 放課後等デイサービスに配置する職員と勤務時間
- 同じ時間帯に職員を重複して数えていないか
- 各サービスで必要となる児童発達支援管理責任者(児発管)の配置と、兼務を含む指定権者の取扱い
- 管理者やほかの職種との兼務状況
管理者を除き、各サービスで通常必要となる職員をそれぞれ配置しているかが重要です。書類上だけ職員を振り分け、実際には同じ時間に複数サービスの配置として数えることはできません。
なお、「障害福祉サービス等報酬(障害児支援)に関するQ&A」問12では、多機能型事業所の児発管が、他のサービスの児発管やサービス管理責任者を兼務できることが示されています。一方、問7では、各サービスの定員規模で基本報酬を算定する要件として、通常必要となる職員について「管理者を除く」としたうえで、それぞれ配置することが示されています。
問12は多機能型事業所における兼務の可否を示すものであり、児発管を一人で兼務したまま問7の要件を満たすかどうかは別に確認が必要です。児発管一人の兼務体制で各サービスの定員規模に応じた基本報酬を算定できると自己判断せず、算定前に指定権者へ確認してください。また、児発管が直接支援を行う場合でも、指定基準上必要な児童指導員等の員数には算定できません。
基本報酬は各サービスの定員規模で確認する
従業者の員数等に関する特例によらず、各サービスで通常必要な職員をそれぞれ配置している場合は、サービスごとの利用定員の規模に応じて基本報酬を確認します。
児童発達支援10人、放課後等デイサービス10人の例では、各サービスで通常必要な職員をそれぞれ配置する特例によらない多機能であれば、次のように確認します。
| サービス | 利用定員 | 基本報酬で確認する定員規模 |
|---|---|---|
| 児童発達支援 | 10人 | 児童発達支援の利用定員10人として確認 |
| 放課後等デイサービス | 10人 | 放課後等デイサービスの利用定員10人として確認 |
合計20人の事業所であっても、特例によらない要件を満たす場合は、各サービスの規模に応じた報酬算定が可能とされています。
ただし、定員規模が小さい区分で請求できるという理由だけで、特例によらない多機能が必ず有利になるわけではありません。サービスごとに必要な職員を配置するため、人件費や採用、勤務管理の負担も増える可能性があります。
設備の取扱いは人員区分と分けて確認する
「特例によらない多機能」という区分は、主に従業者の員数等に関する特例を利用しないことを示すものであり、設備の取扱いまで一律に決めるものではありません。
設備に関する特例の適用は、人員に関する特例の利用状況だけでは決まりません。児童福祉法側の解釈通知では、相談室、洗面所、便所及び多目的室等を、サービス提供に支障がない範囲で兼用できることが示されています。一方、発達支援室は兼用できる設備として例示されていないため、指定内容、平面図、同時利用、面積、安全性を踏まえて確認します。
「特例によらない」という名称だけを理由にすべての設備を分離したり、反対に無条件で兼用したりせず、指定権者へ届け出た設備内容と実際の運用を一致させてください。
児発10人・放デイ10人の例で違いを確認する
同じ利用定員の組み合わせでも、職員の配置方法によって報酬算定上の定員規模が変わる可能性があります。
| 運営例 | 職員体制 | 基本報酬の定員規模 |
|---|---|---|
| 特例による多機能 | 指定通所支援のみを行う多機能型で、児童指導員や保育士などをサービス間で兼務する人員の特例を利用する体制 | 原則として児発10人と放デイ10人を合計した20人規模で確認 |
| 特例によらない多機能 | 児発と放デイについて、管理者を除く通常必要となる職員をそれぞれ配置する体制 | 児発10人、放デイ10人の各サービスの規模で確認 |
午前の児童発達支援と午後の放課後等デイサービスで同じ職員が担当している場合でも、その事実だけで特例による多機能か特例によらない多機能かを判断することはできません。
各サービスで通常必要な職員をそれぞれ配置しているのか、多機能型の人員に関する特例を利用しているのかを、指定・届出上の区分、勤務形態一覧表、実際の担当時間から確認します。児発管を一人で兼務している場合に、特例によらない多機能として各サービスの定員規模で算定できるかは、指定権者へ事前に確認してください。
令和8年6月1日以降の新規指定は応急的な報酬単価も確認する
令和8年度障害福祉サービス等報酬改定では、令和8年6月1日以降に新規指定を受けた児童発達支援と放課後等デイサービスについて、令和9年度報酬改定までの間、応急的な報酬単価が適用されます。既存事業所には従前の報酬単価が適用されます。
| サービス | 応急的な報酬単価 |
|---|---|
| 児童発達支援 | 所定単位数の1000分の988に相当する単位数 |
| 放課後等デイサービス | 所定単位数の1000分の982に相当する単位数 |
多機能型については、「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」問17で、次の取扱いが示されています。
- 既存のサービス事業所に、令和8年6月1日以降、新たなサービスを追加して多機能型とした場合
既存のサービスには応急的な報酬単価を適用せず、新規指定を受けたサービスに適用する - 令和8年6月1日以降、多機能型事業所として新規に特例対象サービスの指定を受けた場合
該当する事業のすべてに応急的な報酬単価を適用する
主として重症心身障害児を通わせる事業所の基本報酬、医療的ケア区分による基本報酬、対象となる加算を算定する利用者に係る基本報酬、離島・中山間地域にある事業所、自治体が客観的に必要であるとして設置する事業所などには配慮措置があります。共生型サービスと基準該当サービスには、令和8年6月1日以降の新規申請であっても応急的な報酬単価は適用されません。
また、「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.2」問1では、既存の多機能型事業所からサービスを分離して別の場所で運営する場合について、新設分割に該当するときは、事業譲渡や吸収合併等と同様に応急的な報酬単価の対象外となる取扱いが示されています。
多機能型の定員規模だけで収支を試算せず、各サービスの指定日、追加・新設・分離の方法、配慮措置の適用有無も確認してください。個別の該当性は、指定前または変更前に指定権者へ確認します。
どちらの多機能型を選ぶべきか
特例による多機能と特例によらない多機能のどちらが適しているかは、報酬単価だけでなく、利用時間、職員体制、設備、支援の継続性を含めて判断します。
- 児童発達支援と放課後等デイサービスの提供時間が重なるか
- サービスごとに職員を採用・配置できるか
- 児発管や専門職の配置・兼務体制を維持できるか
- 利用児童数と今後の利用見込み
- サービスごとに必要な支援室や活動場所を確保できるか
- 職員間の引継ぎや支援方針の共有を行いやすいか
- 基本報酬と人件費を含めた事業収支
指定通所支援のみを行う特例による多機能は、職員をサービス間で活用しやすい一方、基本報酬の定員規模は合計定員で確認することが基本です。
特例によらない多機能は、各サービスの定員規模で基本報酬を確認できますが、それに対応して、各サービスで通常必要となる職員をそれぞれ配置する必要があります。
先に有利と思われる報酬区分を選び、後から職員配置を合わせるのではなく、継続可能な支援体制を設計したうえで指定権者へ相談します。令和8年6月1日以降の新規指定を伴う場合は、応急的な報酬単価の適用も含めて収支を確認してください。
基本報酬以外の加算・減算は個別に確認する
特例による多機能と特例によらない多機能の違いを、すべての加算・減算へそのまま当てはめないようにします。
基本報酬では、利用定員の合計または各サービスの利用定員が重要になります。一方、加算によっては、多機能型事業所全体の職員を合わせて要件を確認するものや、サービスごとに配置・実施状況を確認するものがあります。
- 児童指導員等加配加算の加配人員
- 専門的支援体制加算の配置人員
- 福祉専門職員配置等加算の職員割合
- 人員欠如減算の必要員数
- 定員超過減算の利用者数
- 家族支援加算などの算定回数
基本報酬が各サービスの定員規模で算定できる場合でも、各加算が同じ考え方になるとは限らないため、加算ごとの告示、留意事項通知、Q&Aを確認します。
指定・届出内容と実際の運営を一致させる
多機能型の区分は、請求ソフトの設定だけで変更するものではなく、指定権者へ届け出た人員・設備・定員と一致させる必要があります。
少なくとも次の書類を照合します。
- 指定申請書と最新の変更届
- 運営規程に記載したサービス種別と利用定員
- 従業者の勤務形態一覧表
- 組織体制図と職員の兼務関係
- 事業所の平面図と設備の兼用状況
- サービス提供単位と営業時間
- 体制等状況一覧表と請求システムの設定
特例による多機能から特例によらない多機能へ変更する場合や、その反対へ変更する場合は、人員配置、勤務表、定員、設備、報酬区分に影響する可能性があります。
実際の運営を変更する前に自治体・指定権者へ相談し、必要な変更届と適用開始時期を確認してください。
多機能型事業所で起こりやすい間違い
特例の適用と基本報酬の定員区分が一致していないと、請求や人員配置の不整合につながります。
- 同一敷地内で複数のサービスを行う場合の原則を確認せず、別々の単独事業所として扱えると判断する
- 児童指導員や保育士などについて人員の特例を利用しているのに、各サービスの定員規模で基本報酬を請求する
- 各サービスで通常必要な職員をそれぞれ配置しているのに、届出や請求設定が合計定員のままになっている
- 同じ職員を同じ時間帯に児発と放デイの両方へ重複して配置する
- 児発管を児童指導員・保育士等の必要員数にも重複して数える
- 管理者や児発管の兼務だけで、特例による多機能か特例によらない多機能かを判断する
- 設備の兼用特例があるため、発達支援室を含むすべての設備を無条件で兼用できると考える
- 請求システムの区分だけを変更し、指定権者へ相談・届出をしていない
- 基本報酬の定員区分を、すべての加算へ同じように当てはめる
運営指導(実地指導)に備えるためにも、届出上の区分、職員の勤務実績、利用定員、請求内容を定期的に照合しましょう。
多機能型の区分を確認する手順
多機能型の区分は、指定内容、人員配置、定員規模、請求設定の順に確認します。
- 指定上の事業所区分を確認する
単独事業所なのか、多機能型事業所として指定されているのかを確認します。 - 実施しているサービスと利用定員を整理する
児童発達支援、放課後等デイサービスなどの定員と合計定員を確認します。 - 人員に関する特例の適用状況を確認する
どの職種について特例を利用しているか、同じ職員が複数サービスを担当している場合は担当時間が重なっていないかを確認します。 - 各サービスの必要員数を確認する
特例によらない多機能として運営する場合は、各サービスで必要な員数を独立して満たしているか確認します。 - 設備の使用方法を確認する
兼用している部屋、同時利用人数、面積、支援への影響を確認します。 - 基本報酬の定員規模を確認する
合計定員で確認するのか、各サービスの定員で確認するのかを整理します。 - 届出と請求システムを照合する
体制届、勤務形態一覧表、請求上の多機能区分が一致しているか確認します。 - 自治体・指定権者へ確認する
区分や算定に迷う場合は、勤務表や平面図を用意して具体的に相談します。
多機能型事業所に関するよくある質問
多機能型事業所では、定員、人員の兼務、報酬区分を分けて確認することがポイントです。
児発と放デイを合わせて定員10人にできますか
障害児通所支援だけを行う多機能型事業所では、複数の指定通所支援を通じて利用定員を10人以上とできる特例があります。
サービスごとの定員設定が困難な場合は、合計利用定員で設定できる考え方も示されています。ただし、事業の組み合わせ、対象児、指定内容によって確認事項が異なるため、指定権者へ相談してください。
午前の児発と午後の放デイで同じ職員を配置できますか
配置できる場合はありますが、同じ職員が両サービスを担当していることだけで、特例による多機能と判断することはできません。
指定通所支援のみを行う多機能型で人員に関する特例を利用する場合は、サービス間で従業者を兼務できます。特例によらない多機能として届け出る場合は、各サービスで通常必要な職員をそれぞれ配置していることを確認します。いずれの場合も、各時間帯の必要員数を満たし、同じ職員を同じ時間帯に二つの配置へ重複して数えることはできません。
管理者は児発と放デイを兼務できますか
多機能型事業所では、一体的な管理を前提として、一人の管理者が複数サービスを管理する取扱いが可能です。
ただし、管理上支障がないことが必要です。事業所の規模、営業時間、ほかの職務との兼務状況を確認し、管理者の兼務だけを理由に、特例による多機能か特例によらない多機能かを判断しないようにします。
特例によらない多機能のほうが報酬は高くなりますか
各サービスの定員規模で基本報酬を確認できるため、合計定員で確認する場合より単位数が高くなることはありますが、必ず経営上有利になるとは限りません。
各サービスで必要な人員を確保するための人件費、設備、採用の難しさなども含めて検討する必要があります。また、令和8年6月1日以降に新規指定を受けた児童発達支援・放課後等デイサービスには応急的な報酬単価が適用される場合があるため、新規開設やサービス追加の時期も収支に影響します。
途中で特例の区分を変更できますか
人員体制などの要件を満たせば変更できる可能性はありますが、請求システムの設定だけで変更することはできません。
変更前に指定権者へ相談し、勤務形態一覧表、運営規程、体制届など、必要な手続きと適用開始時期を確認してください。
まとめ
特例による多機能と特例によらない多機能の主な違いは、従業者の員数等に関する特例を利用するか、各サービスで通常必要な人員をそれぞれ配置するかです。
指定通所支援のみを行う特例による多機能では、従業者をサービス間で兼務でき、基本報酬は原則として複数サービスの合計定員の規模で確認します。特例によらない多機能では、各サービスの必要人員をそれぞれ配置し、各サービスの利用定員の規模に応じて基本報酬を確認します。
どちらが適しているかは、報酬区分だけでなく、サービス提供時間、職員確保、設備、利用児童数、支援の質を含めて判断することが重要です。
管理者や児発管の兼務、設備の兼用、加算・減算の算定は、人員の区分だけで一律に判断できません。令和8年6月1日以降の新規指定を伴う場合は、応急的な報酬単価の適用有無も確認が必要です。指定申請書、運営規程、勤務形態一覧表、平面図、体制届、請求システムの設定を照合し、実際の運営と一致しているかを確認しましょう。個別の区分や報酬算定については、最新の公的資料を確認したうえで、自治体・指定権者へ相談してください。
参考資料
- e-Gov法令検索「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」
- こども家庭庁「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」
- こども家庭庁・厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(令和7年3月31日改正・新旧対照表)
- こども家庭庁「障害福祉サービス等報酬(障害児支援)に関するQ&A」(令和6年5月17日)
- こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について」
- こども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について」
- こども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」
- こども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」(令和8年3月31日)
- こども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.2」(令和8年7月13日)
