令和6年度報酬改定では、児童発達支援・放課後等デイサービスを中心に、支援内容、個別支援計画、支援プログラム、加算、減算項目など、多くの見直しが行われました。
確認する項目が多いため、すべてを請求前にまとめて確認しようとすると、対応漏れが起きやすくなります。
そのため、事業所では、届出、計画の見直し、公表内容、請求設定を早めに確認しておくことが大切です。
この記事では、令和6年度報酬改定を踏まえて、実務上、事業所で早めに確認しておきたいポイントを整理します。

届出内容を確認する
加算を算定する場合は、届出が必要になるものがあります。
職員配置、専門職の配置、加算の算定開始、支援プログラムの公表内容など、届出が必要な項目について、実際の運用と届出内容が合っているかを確認しておきましょう。
特に、職員の入退職や勤務時間の変更があった場合は、加算の算定区分に影響することがあります。
確認したい内容としては、次のようなものがあります。
- 算定している加算について、必要な届出を行っているか
- 届出内容と実際の職員配置が合っているか
- 常勤専従・常勤換算などの配置形態にずれがないか
- 経験年数や資格要件を確認できるか
- 変更があった場合に、必要な変更届を確認しているか
- 都道府県や市町村への届出内容に不足がないか
届出内容は、請求内容の根拠になります。
加算を算定している場合は、届出内容、職員配置、勤務表、請求内容がつながっているかを確認しておくことが重要です。
個別支援計画を見直す
令和6年度報酬改定では、個別支援計画の重要性がより高まっています。
特に、5領域との関連性、支援時間、延長支援、専門的支援、家族支援、不登校児童への支援などは、個別支援計画とのつながりを確認しておく必要があります。
個別支援計画を確認する際は、次の点を見ておくとよいでしょう。
- 支援内容と5領域の関係が整理されているか
- 活動内容だけでなく、支援のねらいがわかるか
- 支援時間が実態に合っているか
- 延長支援が必要な場合、計画に位置付けられているか
- 専門的支援を行う場合、個別支援計画と専門的支援実施計画がつながっているか
- 家族支援や子育てサポート加算を行う場合、必要な位置付けや同意が確認できるか
- 不登校児童への支援では、学校との連携内容が反映されているか
個別支援計画は、支援内容だけでなく、請求内容とも関係します。
そのため、計画に書かれている内容と、実際の支援記録、利用実績、請求設定にずれがないかを確認しておくことが大切です。
支援プログラムの作成・公表を確認する
児童発達支援・放課後等デイサービスなどでは、支援プログラムの作成・公表が必要です。
支援プログラムは、事業所としてどのような支援を行っているのかを、5領域との関係も含めて整理したものです。
令和7年4月1日以降は、支援プログラムの作成・公表が未実施の場合、支援プログラム未公表減算の対象となります。
早めに確認したい内容としては、次のようなものがあります。
- 支援プログラムを作成しているか
- 5領域との関係が整理されているか
- 事業所の支援方針や支援内容がわかる内容になっているか
- 家族支援、関係機関連携、インクルージョンの取組が整理されているか
- 職員の意見を確認しながら作成しているか
- インターネット等で公表しているか
- 公表方法や公表内容を届け出ているか
支援プログラムは、作成して終わりではありません。
公表状況や届出内容まで含めて、未公表減算に該当しない状態になっているかを確認しておく必要があります。
支援時間と請求設定を確認する
児童発達支援・放課後等デイサービスでは、支援時間に応じた基本報酬の区分が重要です。
請求設定を確認するときは、個別支援計画に定めた支援時間、実際の利用時間、支援記録、請求上の時間区分が合っているかを見ておきましょう。
確認したい内容としては、次のようなものがあります。
- 個別支援計画に提供時間が記載されているか
- 時間区分1・2・3のどれに該当するか
- 30分未満の支援がある場合、算定できる理由が確認できるか
- 事業所都合で支援時間が短くなった場合、実際の支援時間で確認しているか
- 利用者側の事情で短くなった場合、理由を記録しているか
- 5時間を超える支援や、放課後等デイサービス平日の3時間を超える支援について、延長支援加算との関係を確認しているか
- 重症心身障害児等の報酬体系に該当する場合、時間区分の対象外として扱っているか
支援時間は、請求に直接関わる項目です。
単なる入力作業として処理せず、計画、実績、記録、請求設定が合っているかを確認しておくことが大切です。
加算の算定要件を確認する
加算を算定する場合は、加算ごとに必要な要件を確認する必要があります。
同じ職員配置や同じ支援内容でも、どの加算の根拠として扱うのかによって、確認する内容が変わる場合があります。
特に確認しておきたい加算は、次のようなものです。
- 児童指導員等加配加算
- 専門的支援体制加算
- 専門的支援実施加算
- 関係機関連携加算
- 事業所間連携加算
- 家族支援加算
- 子育てサポート加算
- 延長支援加算
- 医療連携体制加算
- 入浴支援加算
- 送迎加算
- 強度行動障害児支援加算
- 集中的支援加算
- 個別サポート加算(Ⅲ)
加算を確認するときは、名称だけで判断せず、対象児、職員配置、計画、実施記録、算定回数、他加算との関係を確認しておくことが大切です。
減算項目を確認する
減算項目は、未対応の場合に請求全体へ影響することがあります。
特に、虐待防止、身体拘束、業務継続計画、情報公表などは、日頃の運営体制として確認しておく必要があります。
早めに確認したい内容としては、次のようなものがあります。
- 虐待防止措置として、委員会・研修・担当者配置が整っているか
- 身体拘束等の適正化に関する委員会・指針・研修・記録があるか
- 業務継続計画を感染症・災害の両面で整備しているか
- BCPに基づく研修や訓練を実施しているか
- WAMNETへの情報公表を行っているか
- 支援プログラムを作成・公表しているか
- 保育所等訪問支援では、自己評価・保護者評価・訪問先評価を実施・公表しているか
- 公表方法や公表内容の届出に漏れがないか
減算項目は、請求時に気づいてから対応しようとしても間に合わない場合があります。
年度初めや指定更新時だけでなく、定期的に確認しておくことが重要です。
記録の残し方を確認する
令和6年度報酬改定では、支援内容を説明できる状態にしておくことがより重要になっています。
そのため、計画や届出だけでなく、日々の記録も確認しておく必要があります。
記録に残しておきたい内容としては、次のようなものがあります。
- 支援を行った日
- 支援内容
- こどもの様子や反応
- 支援のねらい
- 5領域との関係
- 加算の根拠となる実施内容
- 関係機関や家族との連携内容
- 延長支援や送迎などの実施時間
- 専門的支援や強度行動障害支援の計画・実施内容
- 請求内容に関係する変更や理由
記録は、あとから支援内容を振り返るためだけでなく、請求内容の根拠にもなります。
特に加算を算定する場合は、加算の要件を満たしていることが記録で確認できるかを見ておくと安心です。
職員間で共有する
制度改定の内容は、管理者や請求担当者だけが把握していればよいものではありません。
個別支援計画、支援記録、家族支援、延長支援、関係機関連携などは、日々支援に入る職員にも関係します。
そのため、事業所内で次のような内容を共有しておくと、運用上のずれを防ぎやすくなります。
- 5領域を踏まえた支援の考え方
- 個別支援計画と日々の支援記録のつながり
- 加算算定時に必要な記録
- 延長支援や送迎時に残す記録
- 関係機関や家族との連携内容の残し方
- 虐待防止や身体拘束等に関する運用
- BCPや情報公表など、事業所全体で対応する項目
職員間で共通理解ができていると、支援内容と記録、請求内容のずれを防ぎやすくなります。
請求前に確認したいポイント
請求前には、次の点を確認しておくとよいでしょう。
- 個別支援計画と実際の支援内容が合っているか
- 支援時間の区分が正しく設定されているか
- 延長支援の時間と理由が記録されているか
- 算定する加算の要件を満たしているか
- 算定回数の上限を超えていないか
- 同じ支援内容を複数の加算で重複して評価していないか
- 届出内容と実際の運用にずれがないか
- 減算に該当する未対応項目がないか
- 支援プログラムや情報公表など、公表が必要な項目に漏れがないか
- 記録から支援内容や算定根拠を確認できるか
請求前の確認では、単に入力内容だけを見るのではなく、計画・実績・記録・請求内容の整合性を確認することが大切です。
変更があったときは早めに確認する
職員体制、利用児の状態、支援時間、加算の算定状況、事業所の公表内容などに変更があった場合は、早めに確認が必要です。
小さな変更に見えても、加算や減算、届出内容に影響することがあります。
たとえば、職員の勤務時間が変わった場合は、児童指導員等加配加算や専門的支援体制加算に影響することがあります。
支援時間が変わった場合は、基本報酬の時間区分や延長支援加算に影響することがあります。
利用児の状態が変わった場合は、個別支援計画や加算の対象要件を見直す必要がある場合があります。
変更があったときは、その変更が請求や届出に影響するかを確認しておくと安心です。
事業所全体で早めに確認しておく
令和6年度報酬改定では、支援内容の見える化と、計画・実績・請求内容の整合性がより重要になっています。
確認する内容は多くありますが、早めに整理しておくことで、請求時の確認漏れや算定誤りを防ぎやすくなります。
特に、届出、個別支援計画、支援プログラム、公表内容、加算・減算、支援記録は、事業所全体で確認しておきたい項目です。
請求時には、制度上の要件を満たしているかだけでなく、実際の支援内容を説明できる状態になっているかを確認し、必要に応じて計画や記録、届出内容を見直していきましょう。
確認ポイント
事業所で早めに確認しておきたいことは、請求直前の入力確認だけではありません。
届出内容、個別支援計画、支援プログラム、支援時間、加算・減算、記録、職員間の共有を、事業所全体で整理しておくことが大切です。
特に、職員体制や利用児の状態、支援時間、公表内容に変更があった場合は、加算や減算、届出内容に影響する可能性があります。
令和6年度報酬改定への対応は、単発の確認で終わらせず、定期的に見直す仕組みを作っておくと安心です。
実際の算定や届出にあたっては、こども家庭庁の資料に加えて、関係する告示、通知、事務連絡、自治体からの案内も確認しておきましょう。
